J-PARC
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J-PARC(ジェイパーク)は、高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構が共同で建設を進めている大強度陽子加速器施設である。
2007年度にファーストビームを発生、2008年度に利用を開始する計画となっている。
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[編集] 施設概要
- 建設地 茨城県那珂郡東海村白方白根2番地の4 日本原子力研究開発機構 東海研究所
- 常伝導・超伝導線型加速器(Linac)(全長450m)
- 3GeV 陽子シンクロトロン(RCS)(周長300m)
- 50GeV 陽子シンクロトロン(Main Ring:MR)(周長1567.5m)
- 付帯実験設備として、MLF(物質生命科学実験施設)、原子核素粒子実験施設(ハドロン実験施設)、ニュートリノ、ADS(核変換実験施設)などが建設中である。
- 工学的な利用目的としては、放射性廃棄物の消滅処理などがある。
- 強力な中性子源でもあり、中性子を利用したタンパク質などの構造・機能解析用のラインも稼動される。
- 理学的な利用目的としては、高エネルギー陽子から生成されたπ中間子・K中間子ビームを用いた原子核・素粒子物理実験、カミオカンデと連携した素粒子(ニュートリノ)物理実験、T2Kなどがある。
- 同種の実験施設として、米国SNS(Spallation Neutron Source)が構築中であり、J-PARCと競っている。
- 建設費に約1500億円投じられている。
- 運転には大電力を必要とするため、共用開始以前から運転費用の捻出が問題となりつつある。
[編集] 進展状況
- 2007年10月31日: J-PARC 3GeVシンクロトロンで3GeVのエネルギーまで陽子ビームを加速させることに成功した。
- 2007年10月26日: J-PARC 3GeVシンクロトロンへのビーム入射及び周回に成功した。
- 2007年1月24日: J-PARCリニアック(初段加速器)で負イオン化した水素ビームを所期の加速エネルギー目標値181MeVまで加速させることに成功した。
- 2008年5月22日: J-PARC 50GeVシンクロトロンへの3GeV陽子ビームの入射及び周回に成功した。
[編集] 大強度化について
本加速器の名称の頭文字につけられた大強度とは、加速するビーム中に存在する陽子数が増強されている様子を表す。KEK PSにおける陽子加速器に比べ、約100倍の強度向上を目指している。この加速器大強度化により、効率の良い実験ができるようになる。