iWarp
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
iWarpは、インテルとカーネギーメロン大学の共同プロジェクトとして開発されたマルチプロセッシングスーパーコンピュータである。 プロジェクトは、ひとつのマイクロプロセッサに並列コンピューティングに必要な機能(メモリと通信機能)を内蔵することを目標として1988年に始まった。 そういう意味では、iWarpはトランスピュータやnCUBEに非常によく似ている。
インテルは1989年にiWarpシステムを製品として発表した。 最初の試作品はカーネギーメロン大学に1990年夏に納入され、秋には64セルの製品版が、1991年には追加の2台が納入されている。 1992年夏にはインテル内にスーパーコンピューティングシステム部門が創設され、iWarpはiPSC製品とマージされひとつのシリーズとされた。 インテルはiWarpを製品として残したが、積極的なマーケティングはやめた。 現在は製造されていない。
iWarpの各CPUは20MHzで動作し、32ビットALUと64ビットFPUを備えている。 単純なパイプライン構造で1サイクルに1命令を実行するので、性能は 20MIPSである(浮動小数点は単精度で20MFLOPS、倍精度で10MFLOPS)。 通信はチップ上の別ユニットで制御され、40MB/sの4本のチャネルを装備している。このチャネルはハードウェアで20本の仮想チャネルとして扱うことが可能(INMOS T9000 に追加された機能と類似)。
CPUは基板上にメモリと共に実装されるが、インテルは高速で高価なSRAMを使った。 ひとつの基板には4つのCPUと512K~4Mバイトのメモリが実装される。
iWarpでは ハイパーキューブではなくN×Mのトーラス型のネットワークでノードを接続した。典型的なシステムでは64個のCPUが 8×8のトーラスを構成している。この構成で最高 1.2GFLOPSを記録している。