CID (文字コード)
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CIDは、アドビ社のCIDフォントが内蔵するすべての文字(文字コレクション)を識別するため、文字ごとに振られる一連の番号。
文字コレクションは言語ごとに定義され、その言語の主要な文字集合をサポートするために必要な文字をすべて含む。文字コレクションには「登録者-配列(-追補番号)」の形式で名前が付けられる。たとえばアドビ社が定めた日本語の表記に使われる文字コレクションの名称はAdobe-Japan1である。
Adobe-Japan1は、JIS X 0208やISO/IEC 10646(≒Unicode)などの公的な文字コード規格では(異体字セレクタを使わない限り)同じコードが与えられている異体字の字形1つ1つに別々のCIDを割り当てている。実際のOS・アプリケーションとのやりとりは通常フォントに内蔵されているcmapテーブル(CIDとUnicodeを相互に関連付けた対応表)を参照して行われるが、Acrobat、InDesignなどのソフトはCID番号を直接利用することがある。
Adobe-Japan1の追補ごとの詳細は以下の通り。
- Adobe-Japan1-0
- 約8,000文字(JIS X 0208-1983まで、OCFフォントで利用[1])。Adobe-Japan1-4でJIS X 0208-1983の規格票字形が追加されたことに伴いAdobe-Japan1-0の範囲にはJIS X 0208-1990の規格票字形を実装することになったが、当初は厳密な規格票字形の実装を求められていなかった。このためAdobe-Japan1-4以前から存在するフォントで互換性の問題が生じる場合がある[2]。
- Adobe-Japan1-1
- 富士通やNECのJIS X 0208実装に使われていた字体(おおむねJIS C 6226-1978に基づく)の拡張およびJIS X 0208-1990で追加された漢字の追加。
- Adobe-Japan1-2
- 約8,700文字(CIDフォント)。IBM外字などの拡張によりマイクロソフト標準キャラクタセットをサポートした。
- Adobe-Japan1-3
- 約9,000文字 (OpenType Standard)。縦書き字形の拡張。漢字の追加はない。
- Adobe-Japan1-4
- 約14,000文字 (OpenType Pro)。Mac OS X v10.0で利用可。過去のJIS X 0208の規格票字形すべてや、JIS X 0221 附属書1の追加漢字集合に対応。
- Adobe-Japan1-5
- 約20,000文字。Apple拡張(APGS)の取込み、JIS X 0213:2000、国語審議会「表外漢字字体表」など対応。Mac OS X v10.2, 10.3, 10.4で利用可。
- Adobe-Japan1-6
- JIS X 0213:2004およびJIS X 0212への対応。U-PRESSの文字を追加。Mac OS X v10.5で利用可。
Adobe-Japan1-4とAdobe-Japan1-5の間にAppleがMac OS X (10.1)でJIS X 0213文字を拡張したApple Publishing Glyph Set(APGS)もあるが、Adobe-Japan1-5と同じものということになっている(実際にはAdobe-Japan1-5との間には僅かに違いがある[3])。
古いものでAdobe-Japan2-0もある。JIS X 0212に相当する。Adobe-Japan1-6に統合され廃止された。
Adobe-GB1-0、Adobe-Korea1-0など日本語以外のCJK圏で使われる文字コレクションもあるが、Adobe-Japan1以外はおおむね公的な文字コード規格の文字をそのまま含んでいるだけであるため、あまり注目されていない。
[編集] 脚注
- ^ OCFフォントのグリフはCIDを持たないが、グリフの内訳はAdobe-Japan1-0と等価
- ^ jfonts_Topics
- ^ Adobe-Japan1-4 & APGS実践情報
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Adobe Developer Resources
「Adobe-Japan1-6」の全収録文字一覧表が "Adobe-Japan1-6 Character Collection for CID-Keyed Fonts" として公開されている - Adobe-Japan1-6文字コレクションに対応する日本語OpenType®フォントについて
- 安岡 孝一. “Adobe-Japan1-6とUnicode─異体字処理と文字コードの現実”. 情報管理. Vol. 48, No. 8, (2005), 487-495 .