3He-4He希釈冷凍法
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3He-4He希釈冷凍法(3He-4Heきしゃくれいとうほう)とは極低温領域での冷却法のひとつ。液体ヘリウムを使った冷却では冷やせない、さらに低温の冷却を行う。現在100mK以下の極低温を連続的に生成する唯一の方法である。以下に3He-4希釈冷凍法の原理について説明する。
ヘリウムには、3Heと4Heが同位体として存在しており、自然界では4Heが主体である。3Heはフェルミ粒子であり、4Heはボース粒子である。4Heは極低温で超流動を起こす。
ヘリウム3とヘリウム4の混合液は0.87K以下で「多くのヘリウム4の中に少しのヘリウム3が混ざった希薄相(D相)」と「ほとんどがヘリウム3の濃厚相(C相)」の2相に分離する。3He-4He希釈冷凍機で最も低温になる部分は混合器と呼ばれ、その中では図のように2相が接している。図でD相につながっているパイプの先は分溜器とよばれる部分につながっており、そこは約0.8Kに保たれている。0.8Kにおいてはヘリウム4の蒸気圧はほぼ0だが、ヘリウム3の蒸気圧は有限であるため、ヘリウム3を選択的に蒸発させることが出来る。するとD相のヘリウム3濃度が平衡状態より低くなり、ヘリウム3はC相からD相へ蒸発する。このときC相とD相の間のエントロピー差を利用することによって混合液から熱を奪うことができるのである。このような操作により10mK程度の極低温を連続的に生成することが可能である。
[編集] 出典
- 新しい物性物理 伊達宗行 講談社BLUEBACKS ISBN 4-06-257483-7
- 低温技術 小林俊一,大塚洋一 東京大学出版会 ISBN 978-4130630429
- 《超流体 》/ (美)沈星揚著 (1982). - 北京: 科学出版社
- Mendelssohn, Kurt Alfred Georg (1966). The Quest for Absolute Zero: The Meaning of Low Temperature Physics. New York: World University Library. McGraw-Hill.