麻酔銃
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麻酔銃(ますいじゅう、英:Tranquilizer Gun)は、麻酔薬の入った注射筒やダート(矢)を空気圧で射出する銃。空気銃の一種でライフル型のものと拳銃型のものがある。 捕獲銃(Capture gun)とも呼ぶ場合もある。
主に中・大型の野生動物保護の際や、動物園で動物が逃げ出した場合などの捕獲用に、麻酔を打つ際に利用される。
漫画やドラマなどのフィクションには人間を麻酔銃で眠らせるシーンが頻繁に登場するが、対人用の麻酔銃というものは実在しない。
[編集] 使用する薬剤
使用する薬剤は厳密には麻酔薬ではなく不動化薬と呼び、麻酔銃に使用する薬品は麻酔作用のある物に限定はされない。
麻酔銃は投薬方法しては極めて乱暴であるため、使用できる麻酔薬は条件がかなり厳しくなる。
- 投薬量が多少多くても安全である。
- 呼吸抑制作用がほとんど無い。
- 筋肉投与で薬効を発揮すること。
- 短時間で効果を発揮する。
中に充填する麻酔薬には長年に渡ってケタミンが使用されてきたが、現在では麻薬指定により使用が困難になったため他の薬で代替するために、塩酸チレタミンと塩酸ゾラゼパムの混合薬などが検討されている。 あるいは、麻酔薬ではなく鎮静剤や筋弛緩剤などを使用することになる場合も考えられる。 ゾウ、ウシ、トラなどの大型動物の場合には人間には強すぎて使えないエトルフィンとアセプロマジンの組み合わせを使う場合もある。
[編集] 法規制
麻酔銃は銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)などの規制対象となるため、麻酔銃を使用するためには銃免許が必要であり、現在ではケタミンを使用するためには麻薬研究者などの許可を取る必要まであるため、 麻酔銃を使用できる人間は非常に限られており、大型動物が暴れている場合などに麻酔銃が使用できる人間がいないため、強引に取り押さえたり、殺処分にしなければならないような事態が多発している。