食料自給率
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食料自給率(しょくりょうじきゅうりつ)とは、1国内で消費される食料のうち、どの程度が国内産でまかなわれているかを表す指標。食料を省略して自給率と言われる場合もある。
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[編集] 種類
食料自給率には、以下の種類がある。
[編集] 品目別自給率
小麦や米など、個別の品目別の自給率のこと。算出にあたっては、品目の重量を使用する。
- 国内の生産量(重量ベース)÷国内の消費量(重量ベース)
[編集] 総合食料自給率
個別の品目ごとではなく、一国の総合的な自給率。以下の二種類がある
-
- カロリーベース総合食料自給率
- 国民1人1日当たりの国内生産カロリー÷国民1人1日当たりの消費カロリー
-
- 生産額ベース総合食料自給率
- 生産額=価格×生産量で個別の品目の生産額を算出し、足し上げて一国の食料生産額を求める
- 国内の食料総生産額÷国内で消費する食料の総生産額
[編集] 主要国の食料自給率
主要国の食料自給率は、以下のとおり。
国名 | 1965 | 1970 | 1975 | 1980 | 1985 | 1990 | 1995 | 2000 | 2002 | 2003 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
オーストラリア | 199 | 206 | 230 | 212 | 242 | 233 | 261 | 280 | 230 | 237 |
カナダ | 152 | 109 | 143 | 156 | 176 | 187 | 163 | 161 | 120 | 145 |
フランス | 109 | 104 | 117 | 131 | 135 | 142 | 131 | 132 | 130 | 122 |
ドイツ | 66 | 68 | 73 | 76 | 85 | 93 | 88 | 96 | 91 | 84 |
イタリア | 88 | 79 | 83 | 80 | 77 | 72 | 77 | 73 | 71 | 62 |
オランダ | 69 | 65 | 72 | 72 | 73 | 78 | 72 | 70 | 67 | 58 |
スペイン | 96 | 93 | 98 | 102 | 95 | 96 | 73 | 96 | 90 | 89 |
スウェーデン | 90 | 81 | 99 | 94 | 98 | 113 | 79 | 89 | 87 | 84 |
スイス | 48 | 46 | 53 | 55 | 60 | 62 | 59 | 61 | 54 | 49 |
英国 | 45 | 46 | 48 | 65 | 72 | 75 | 76 | 74 | 74 | 70 |
アメリカ | 117 | 112 | 146 | 151 | 142 | 129 | 129 | 125 | 119 | 128 |
日本 | 73 | 60 | 54 | 53 | 53 | 48 | 43 | 40 | 40 | 40 |
- 出典:農林水産省試算[1]
[編集] 日本の食料自給率
各都道府県のカロリーベースの食料自給率では、100%を超える都道府県は北海道と青森県、岩手県、秋田県、山形県のみである。北海道は192%と全国一の値を誇る。一方、一番低い東京都は、約1%となる。
また、穀物自給率は28%となっている。これは、173カ国・地域中124番目(2002年時点)となっている[1]。
日本国民の意識としては、7割の人が食料自給率を低いと感じている[2]。大食いのテレビ番組に対して、食べ物を無駄にしているという批判がある[3]。
[編集] 低下の要因
牛肉 | 豚肉 | 鶏肉 | 鶏卵 | 大豆油 | なたね油 | |
11kg | 7kg | 4kg | 3kg | 5kg | 2kg |
食事の洋食化や外食の増加など、国民の食料消費品目の変化に、国内の農業が対応できなかったとの指摘がある[5]。米の消費の減少に替わって畜産物や油脂の消費量が増大してきたが、畜産物や油脂を生産するためには大量の穀物や原料が必要となる[4]。人口に対して国土が狭いという日本の条件のため畜産物と油脂の消費の増加についていけない[4]。主要先進国でも日本ほど食事の変化した国はない[4]。飼料自給率の低さ(1980年代以降、20%台で推移。2005年時点で25%)が、畜産製品の自給率に影響を与えている[5]。
畜産物・油脂のほかに輸入に依存している割合が多い食料は、小麦や砂糖である[4]。
また大量に輸入して大量に捨てていることも問題である[6]。廃棄物学の専門家である高月紘によれば、生ゴミのうち食べることが可能な部分が捨てられたものは、2002年では38.8%を占めていた[7]。買ったままの状態で捨てられていたのは11%で、その6割が賞味期限の前に捨てられていた[7]。外食産業では、宴会や披露宴、宿泊施設での食べ残しが13~22.5%と多い[8]。
[編集] 脚注
- ^ a b 世界の食料自給率 (農林水産省)
- ^ 内閣府 食料の供給に関する特別世論調査 (PDF)
- ^ 「大食いの番組、もう放送やめて」(読売新聞、2008年2月19日・東京朝刊)
- ^ a b c d e 『我が国の食料自給率-平成15年度食料自給率レポート』農林水産省(農林水産省)
- ^ a b 『第1節 食料自給率の向上に取り組む意義と課題』平成18年度食料・農業・農村白書(農林水産省)
- ^ 6.食料自給率向上のためにできること! - 食料自給率の部屋 (農林水産省)
- ^ a b 高月紘 『ごみ問題とライフスタイル』 日本評論社、2004年。91~93頁。ISBN 978-4535048287。
- ^ 外食産業における食品ロス(食べ残し)の概要(平成18年 食品ロス統計調査(外食産業調査)結果) (農林水産省)