飛行石
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飛行石(ひこうせき、Levistone(または Levitation Stone))とは、宮崎駿監督のアニメ『天空の城ラピュタ』に登場する架空の物質。透明感のある青色の結晶体で、人や物体を重力に逆らって宙に浮かせることが出来る力を持つ。
飛行石そのものは地中の岩などに広く含有されているが、そのままでは掘り出されて空気に触れた時点で反応を起こし、ただの石になってしまう。かつてラピュタと呼ばれた王国にのみ飛行石を結晶にして、空気中でも反応を起こさない状態にする技術力があったとされる。その力を用いて天空の城「ラピュタ」が建造され、高度な科学力を持ったラピュタの民は全世界を支配したという。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
ラピュタ王国が滅びた際に、王族であるシータの先祖が1個の飛行石を持って地上に降りた。これは青色の飛行石の結晶に、金でラピュタ王家の紋章が描かれ、ペンダントとしてしつらえられていた。この飛行石にはさまざまな力があり、シータが飛行船から落ちた際にはその命を救い、時に光線を発してラピュタの方角を指し示し、最後には天空の城の滅びの封印を解き放った。
また、作中において天空の城の中枢に据えられている、正八面体状の巨大飛行石を指して「ラピュタの力の根源だ」というセリフがあったことから、何らかのエネルギー源としての性質も持つと考えられる。さらに、700年以上、城を浮かばせ続け、人目から隠すために城の周囲の気候を制御し続けていたことから、少なくとも700年以上(おそらく半永久的に)使用できる。最後に大木の根に支えられて空に上っていく描写があったものの、周りの建物は腐食や崩落、風化が進んでいたので自然崩壊により最終的には飛行石のみが空中を漂い続けるのかも知れない。
ポール・スチュワートとクリス・リデルによる『崖の国物語』(現在までシリーズ全4巻、別巻1、ポプラ社 2002年)にも、「浮遊石」というものが出てくる。これもほぼ同様のものをさすと思われる。いずれも、元ネタはジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』といっていいだろう。 また、宮崎駿による原案が同じであるふしぎの海のナディアではブルーウォーターと呼ばれ、やはりナディアが首からかけている。勿論特殊な力を秘めていてナディアを浮かせたり、色は青色、ダイヤ型と類似している。
また、グッズとしてこの飛行石のペンダントやストラップが販売されている。色は原作の深い青色のほか、緑や透明などもある。
[編集] おまじない
飛行石はラピュタ王家の血をひく者が口にする言葉に反応し、様々な事象を引き起こす。それらは口伝で密かに伝承されてきた。
- リテ・ラトバリタ・ウルス アリアロス・バル・ネトリール
- 眠りについていたラピュタを目覚めさせる呪文。「我を助けよ、光よ蘇れ」を意味する。飛行石自体も活性化し、離れ離れになったラピュタ城を指し示す青い光を発して、地上に降りた王家の者を再び城へと導く。
- この呪文一つでラピュタの機能全般が活性化するようで、ロボット兵も反応して活動を再開する。シータはこの呪文を「困ったときのおまじない」として祖母から教わっていた。
- バルス
- 滅びの言葉。ラピュタ語で「閉じよ」を意味する。ラピュタ城中枢に浮かぶ巨大飛行石に命令を伝え、中枢部の回路を自壊させ、城全体を崩壊に導く。
[編集] その他
ニュージーランドやオーストラリアに生息する土ボタルが、飛行石のモデルと言われている。