霜の巨人
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[編集] 霜の巨人
霜の巨人はヨツン (Jotun) とも呼ばれ、北欧神話に登場する怪物の一種。世界で最初に生まれた巨人ユミルの子孫。
ユミルの一族として最初に生まれたのは、アウルゲルミル、その子スルードゲルミル、その息子ベルゲルミルだと挙げられている。(『古エッダ』の『ヴァフスルードニルの歌』第29節による)
最初に生まれた人間ブーリの息子ボルは、霜の巨人のボルソルンの娘ベストラと結婚して、オーディンら三人の息子を得ている。(『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』6章による)
ユミルの子孫はユミルがオーディンたちによって殺されたときに起こった血の洪水によって、碾き臼に乗って難を逃れたベルゲルミルとその妻以外は溺れ死んでしまったとされているので、血の洪水以降に登場する霜の巨人はすべてベルゲルミルの子孫であるといえる。(『ギュルヴィたぶらかし』7章による)
巨人の王ウートガルザ・ロキも霜の巨人だといわれている。
霜の巨人は人間と神に敵意をもっていると考えられ、神々と争いが絶えない。最終的にラグナロクで敵として戦うとされる。『ギュルヴィたぶらかし』51章には、フリュムという名の巨人に率いられたすべての霜の巨人が、神々との決戦の場に集まると語られている。
[編集] 山の巨人
巨人には他に、山の巨人と呼ばれる種族がいるが、どのように生じたのか、どこに住んでいるのかはっきりしない。
名前がわかるのは、まず豊穣神フレイの妻となったゲルズの母アウルボザ(『ギュルヴィたぶらかし』37章)。そして、『古エッダ』の『グロッティの歌』に登場するフェニヤ(Fenia)、メニヤ(Menia)、イジ(Iði)、アウルニル(Aurnir)が挙げられる。
他に、アースガルズの城壁を修理すると申し出た石工の正体は無名の山の巨人であった(同42章)。また、彼らはバルドルの葬儀の際に霜の巨人とともに参列したとされている(同49章)。