陸上植物
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陸上植物(りくじょうしょくぶつ)とは陸上に上がった緑色植物の一群。コケ植物、シダ植物、種子植物をさす。これは狭義の植物界と同義である。藻類にも陸生のものがあるが、普通はこれに含めない。
[編集] 用語
陸上植物(land plant)は陸上で進化した植物群を指す言葉であり、分類学的な用語である。この中には水中生活をするものが含まれるが、それらもこの名で呼んでよい。逆に陸上生活をする藻類はこれに含めない。よく似た語であるが、陸生植物(terrestorial plant)は生態学的な用語であり、実際に陸で生育するものをまとめたものである。
ただし、これらの言葉はいずれも一般的な語を組み合わせたものなので、生物学の専門家以外が使う例も見られ、その場合にはこのような区分はない。単に陸の植物としてどちらの語も使われる可能性がある。
[編集] 概説
これらの植物群は、淡水性の緑色の藻類から進化したものと考えられている。これらのうちで、コケ植物・シダ植物が比較的原始的なものと考えられる。この両者の起源やその関係については議論が分かれる。一般にはコケ植物の方が簡単で単純な構造を持つが、こちらの方が原始的であると見なす決め手はない。しかし、少なくともこの両者は近縁の先祖を持ち、いずれも古生代オルドヴィス紀からデヴォン紀にかけて陸上に進出し、陸上で進化したことは間違いないものと見られる。
これらの植物群は、いずれもが茎や葉、根のような複雑な構造を持つ(コケ植物は他の群のものとは相同ではないものの、類似した形の器官を持つのが普通である)点で、いわゆる藻類より、多細胞生物としては遙かに高度な構造を持つ。これは陸上生活に対する適応と考えられる。いずれの仲間にも、淡水産の種があるが、ごく少数であり、それらの原始的なものと言うよりは、むしろ二次的に淡水へ入ったものと考えるべきである。種子植物はシダ植物から進化したものである。
シダ植物、コケ植物は生殖細胞が鞭毛を持ち、そのために生活環を完結するためには遊離した水がある環境を必要とするが、栄養体の生活に関しては陸上の環境に十分な対応ができている。種子植物は、すべて生活環の完結のために遊離した水が外部にある必要のない構造を持っている。種子植物にも二次的に淡水に侵入したものがあり(水草)、ごく少数が海水にも侵出している(海草)が、それらの大部分が生殖のために空中に顔を出さなければならないのは、陸上で進化したことの証拠と言っていい。
[編集] 特徴
これらに共通する特徴は以下のようなものである。
- 乾燥への適応。特に植物体表面の細胞層(表皮)が丈夫になり、クチクラ層が発達する。
- 栄養体を支持する組織の発達。水中とは異なり、体を機械的に支えなければ形態が保持できない。細胞壁が発達するほか、機械的な支持を行う組織が分化している。維管束にもその機能がある。コケ植物においても、それに近い位置に細胞壁の肥厚した組織が発達するものがある。
- 水を吸い上げる器官の発達。陸上においては、水を地表から吸い上げなければならず、そのためには非同化部分を発達させて地下に伸ばさねばならない。いわゆる根である。
- 通道のための組織の発達。地下からの水の吸い上げが必要であるから、パイプの働きをする器官が発達する(維管束など)。同時に、根という非同化器官を養うために栄養を運ぶ役割も持ち合わせなければならない。
- 散布体が水に依存しないこと。胞子は鞭毛を失い、厚膜化する。