退魔
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退魔(たいま)とは、魔物を退治すること。それを行う者のことを退魔師というなどの使われ方をする。ファンタジー関連の漫画、小説、ゲーム等で見受けられる。しかし元々はその意味を持たずに作られた語であった。
[編集] 初出
当然ながら架空のものであるが、それ以前にこの言葉自体が日本語にはなく、つくられたものである。したがって広辞苑等の辞書にも登場しない。この用語が最初に使われたのはSF作家豊田有恒の小説作品『退魔戦記』である。作品中に出てくる同名の架空の古文書について作中人物をして「無理に読めば『魔を退く』となって日本語としても不自然。普通は『降魔』を使うはず」と言わせている。作品中に出てくる乗り物の名称が「退魔船」(たいません)で、実はこれがタイムマシンなので、「たいません」はこれに引っ掻けた造語であると察せられる。
なお、この作品は純粋な時間SFであり、魔物に類するものは一切登場しない。その意味でも、ここでの「魔」は音合わせ以外の意味を持たないと見られる。
[編集] 再登場
この時期にはこの作品以外にこの言葉が使われた形跡はなく、また、それほど大当たりした作品でもなかった。しかしながら菊地秀行の小説作品『退魔針』などで使われるようになり、近年のファンタジー系の作品ではごく普通に退魔師という語が見かけられるようになっている。近年の使用例では、常に「魔物や妖魔を退ける」と言う意味に使われる。