起訴
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起訴(きそ)とは、訴えを提起すること、すなわち、裁判所に対し原告の請求について判決をするよう法定の手続に従って求めることをいう。検察官による公訴の提起を指して用いられることが多いが、民事訴訟における訴えの提起を指す場合もある(「二重起訴の禁止」など)。
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[編集] 訴えの提起(民事訴訟法)
対義語は訴えの取下げである。 訴えが裁判所に提起されると、被告への訴状の送達がなされ、訴訟が係属する。
[編集] 公訴の提起(刑事訴訟法)
公訴を参照。
[編集] 在宅起訴
在宅起訴(ざいたくきそ)とは、刑事訴訟法の被告人が監獄に勾留(拘置)されていない状態で起訴がなされることを言う。略式手続や、被告人が勾留されないまま公訴を提起された場合などに在宅起訴となる。
なお、日本法上は起訴後保釈のみが認められており、起訴前保釈の制度はない(刑事訴訟法207条1項但書)ため、一旦勾留されると、勾留の取消しや満了など特段の事情がない限りは在宅起訴となることはない。
[編集] 不起訴
検察官の判断により、終局処分として公訴の提起(公判請求や略式命令請求)がされない処分をいう。 ちなみに不起訴になる場合は以下の通りである。
- 訴訟条件を欠く場合
- 被疑者が死亡したとき、親告罪について告訴がなかったり取り消されたりしたとき、公訴時効が完成したときなどは、訴訟条件(起訴するための法律上の条件)を欠くことになり不起訴となる。
- 被疑事件が犯罪を構成しない場合
- 被疑事実が構成要件に該当しないとき(罪とならず)、被疑者が14歳に満たないとき(刑事未成年)、犯罪時に心神喪失であったとき(心神喪失)などは、不起訴となる。
- 犯罪の嫌疑がない場合(嫌疑なし)
- 被疑者が人違いであることが明白になったときなど、犯罪の嫌疑がない場合は不起訴となる。
- 嫌疑が不十分な場合(嫌疑不十分)
- 捜査を尽くした結果、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときは、嫌疑不十分として不起訴となる。
- 情状が軽く訴追の必要がない場合(起訴猶予)
- 証拠上、被疑事実が明白であっても、被疑者の性格・年齢及び境遇・犯罪の軽重及び情状・犯罪後の状況により訴追を必要としないと判断される場合は、検察官の判断により起訴を猶予して不起訴とすることがある(刑事訴訟法248条)。