訴えの利益
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訴えの利益(うったえのりえき)とは、 国家の裁判機関を用いて紛争を解決するに値するだけの利益・必要性のことである。これを欠く訴えは不適法として却下される。
民事訴訟においては、原告の請求に対し本案判決をすることが当事者間の紛争を解決するために有効かつ適切であること。
行政訴訟においては、行政処分の取消訴訟の場合、事案において本案判決を下す利益があること。
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[編集] 民事訴訟
- 給付の訴えの利益 : 給付の訴え(給付訴訟)は、通常、被告が任意に履行しないために提起されることから、一般的には訴えの利益があるといえる。確定した給付判決がある場合には、通常は重ねて給付判決を受ける利益がないが、時効の中断の必要がある場合には訴えの利益が肯定される。
- 確認の利益(確認訴訟における訴えの利益): 原則として確認の対象は権利・法律関係であることを要し、単なる事実の確認には訴えの利益は認められない。しかし、例外的に証書真否確認の訴えは事実の確認であるが明文で訴えの利益が認められている(134条)。
- 形成の訴えの利益 : 形成の訴え(形成訴訟)は、法規の定める形成権の行使による権利義務関係ないし法律関係の形成・変更を目的とする訴訟であるから、法律に規定がある限り、訴えの利益が認められるのが通常である。しかし、事情の変更等の理由により、形成権の行使が無意味であると認められる場合には、訴えの利益を欠くことになる。例えば、重婚を理由とする後婚の取消しの訴えは、後婚が離婚により解消された場合には訴えの利益を欠く(最判昭和57年9月28日民集36巻8号1642ページ)。
[編集] 行政訴訟
裁判は、現実的救済を目的とするので取消判決により原告の救済が達成できなければ、訴えの利益は認められない。
- 処分の効果が完了した時
- 行政処分が効力を失ったとき
- 原告が死亡したとき
[編集] 判例
- 審査請求棄却処分取消、運転免許停止処分取消(最高裁判例昭和55年11月25日)
- 自動車運転免許の効力停止処分を受け、免許の効力停止期間を経過し、かつ、処分の日から無違反・無処分で一年を経過したときは、違反点数が無くなったので処分の取消によつて回復すべき法律上の利益を有しない。
- 建築基準法による確認処分取消(最高裁判例 昭和59年10月26日)
- 工事が完了した場合における建築確認の取消を求める訴えの利益の有無
- 土地改良事業施行認可処分取消(最高裁判例 平成4年01月24日)
- 事業の施行の認可の取消しを求める訴えの利益
[編集] 関連項目
- 行政事件訴訟法第9条(原告適格)