自由旅行
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自由旅行(じゆうりょこう)とは、旅行会社が企画する募集型企画旅行(いわゆるパッケージツアー)に対して、旅行者自身が自由に旅行計画を策定し、予約なし、あるいは部分的予約で自由気ままに旅行する旅行形態である。主に海外旅行で使われ、戦後海外旅行が広く国民に自由化された1964年以降、海外旅行といえば大手旅行会社が企画するパッケージツアーに参加するのが一般的であったが、正規の販売ルートを通さない格安航空券の流通により、若者たちが格安航空券や船で海外へ渡航し、鉄道やバスの切符を現地で購入したりヒッチハイクで移動し、ユースホステルや野宿をしながら安く旅行することが流行した。当時「無銭旅行」や「貧乏旅行」などと呼ばれていたが、格安航空券を専門に扱う旅行会社も出現し、ホテルや観光も一部予約するなど、貧乏とはいえないような比較的デラックスな旅行者も現れるようになると、旅行会社の手を借りない自力旅行者のプライドを込めてその旅行形態を「自由旅行」と呼ぶようになった。
団体旅行や旅行会社まかせの旅行者を少々軽蔑する意味も込められており、旅行会社どうしの対立や社会的批判も多かったが、学生やフリーターなどの若者の圧倒的な人気を背景に、1980年代に大手旅行会社も次々と参入するようになった。大手旅行会社の参入により、パッケージツアーと自由旅行の中間的形態のツアー(ハンドメイドパッケージやエアーアンドホテル)も多くなり、どこまでを自由旅行と言い、どこからをパッケージツアーというかの厳密な区別は困難になってきた。類似の言葉として、団体旅行に対する個人旅行という言い方もあるが、1人で旅行する個人旅行でも、旅行会社にホテルや観光の手配を依頼していく受注型企画旅行(ハンドメイドパッケージ)は、上記経過からすると自由旅行と呼ぶには抵抗がある。
自由旅行は、英語ではindependent travelといい、個人旅行はindividual tourといい英語でも区別されている。旅行業界ではforeignを頭に付けてF.I.T.と呼ばれるがこの場合は個人旅行(foreign individual tour)の意味。