老齢基礎年金
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老齢基礎年金(ろうれいきそねんきん)とは国民年金に加入し、所定の年齢になってから貰う(受給する、給付される)年金のことであり、一般的に、または多くの場合「老齢年金」や「基礎年金」と呼ばれるものは正式には「老齢基礎年金」を指すことが多い。国民年金も参照のこと。
また障害基礎年金(障害年金)、遺族基礎年金(遺族年金)も基礎年金である。 ここでは「老齢基礎年金」に関して概要と内訳のあらましを記述する。
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[編集] 概要
保険料納付期間と保険料免除期間が25年以上ある人が原則65歳から受給できる。
繰上げ(先取り)と言い60歳から受給することもできるが、その場合は年金額は減額される。一方、繰り下げ(先送り)と言い70歳まで受給を遅らせることもでき、その場合は年金額は増額される。 この減額や増額は生涯続く。
年金額は40年間加入し毎月保険料を納めていた場合は満額792,100円(月額66,008円)(2007年度)であるが、保険加入期間、納める額の半額免除や全額免除の月数に応じて減額される。 付加年金を納付していた人は、200円×納付月数が加算される。(繰上げ・繰り下げによる増減の対象となる。)
[編集] 老齢基礎年金の内訳
誕生日が昭和16年4月1日以前の者と昭和16年4月2日以後の者とに年金額に違いはある。
昭和16年4月1日以前の誕生の者は既に年金を受給していると考え、ここでは昭和16年4月2日以後の誕生の者に関する記述とする。
内訳の明細は以下の項目となる。 (ただし、2007年平成19年現在)
- 定額
- 定額の繰上額
- 定額の繰下額
- 付加年金
- 付加年金の繰上額
- 付加年金の繰下額
- 振替加算額
- 加算額(老基加算額)
- 停止額
[編集] 内訳の概要
以下のはあくまで参考とする概要であり、個人個人の加入期間、加入の時期(年代、または時代)、配偶者の有無と年齢などよって異なり、大まかなガイドラインとしての記述です。
詳しくは最寄の「社会保険事務所」、およびその「年金相談センター」への個別照会、郵送照会、「ねんきんダイヤル」への電話相談などを行うこと。また平成19年度から始まった「ねんきん定期便」なども参考として将来の受給額を予測できる。
以下は参考として受給は数十年先の事であったとしても加入し納付段階から理解し、かつ受給段階での漏らさず受給出来るか注視すべき項目として参考となる。 また、年金制度そのものが新たな法律によって変る可能性もあり、あくまでどの様な内訳として受給出来るかという大まかに把握する程度に留められたい。
[編集] 定額
老齢基礎年金の基礎となる受給額を「定額」と呼ぶ。昭和16年4月2日以後に生まれた者は支給要件、料納付済期間と免除期間の合計が25年以上。支給開始年齢は原則65歳から。(65歳未満の繰上げ(先取り)、および65歳以降の繰下げ(先送り)の場合は下記参照。)
注意:前述の通り、昭和16年4月1日以前に生まれた者も類似の計算ではあるが、既に年金の受給者とみなして以下の説明の数字や掛け率は記載しないが、受給している年金額は各項目は該当するか、見直しすることを勧めます。
[編集] 定額の繰上額
原則65歳からであるが、満年齢60歳から65歳の間で減額された年金の受給が出来きる。満年齢後の年月単位の繰上げ受給(早期の受給)が行え支給額に減額率を適用して負の「繰上額」が付加される。誕生年月によって「全部繰上げ」と「一部繰上げ」が行える。いわば、早取分の減額である。月当り5%の減額、最大30%で生涯減額は続く。また繰上、繰下とも申請後取り消しは出来ない。
[編集] 定額の繰下額
一方、66歳から70歳までの希望する満年齢後の年月単位で増額した年金の受給が行える。年月単位で「年齢繰下げ支給」では、繰り下げ(先送り)年月数数に応じて増額率が変り、それに相当する正の「繰下額」として加算額が付加される。これには月当り0.7%の増額が有り、5年間の70歳まで先送りすれば0.7%の月単位の調整であり、60ケ月分42%の増額となる。この増額は生涯続く。また繰上、繰下とも申請後取り消しは出来ない。
(注意事項) 繰下げ受給を希望し、70歳0ヶ月での増率を希望する場合は、70歳に到達した月に請求しないと、請求月の翌月からの受給原則により、(例えば「70歳8ヶ月で請求」した場合は8ヶ月分)遅れて請求するまでの間は受給できなく得策とはいえない。月末または1日生れは特に注意を要する。
[編集] 付加年金額
国民年金の毎月の掛け金(拠出金)に月当り400円を増額して納付し、年金の受給額を増やせるが、これを「付加年金額」と呼ぶ。この増額納付は「国民年金基金」とは異なり、この基金に加入している者はこの付加年金額のための増額納付は出来ない。付加年金額においても年齢年月繰上げ、または満年齢の繰り下げを定額と同時に行え、定額と同様の増額、減額が行われる。 付加年金額は生涯付加される金額であり、概ね、2年間付加年金額を受給すれば、掛け金400円の元は取れる。この繰上、繰下も申請後取り消しは出来ない。
[編集] 振替加算額
「老齢厚生年金」の受給者に65歳未満の配偶者が居る場合に加えられた項目に「配偶者加給年金」がある。配偶者が満65歳以降は配偶者自身が老齢基礎年金の受給を出来るのでこの加給無くなり、この加給額は「振替加算」として、ここで述べている、配偶者自身が受給する「老齢基礎年金」内訳に振り替えられる。言い換えれば、配偶者にしかこの「振替加算額」は付かない。
[編集] 加算額 (老基加算額)
昭和24年4月2日以後誕生の男子、および 昭和29年4月2日以後誕生の女子の老齢厚生年金の受給は満65歳からである。 それ以前の誕生の者は満65歳以前の満61歳から満64歳まで順次生年月日に応じて老齢厚生年金の「定額部分」を受給できる。(この年齢を「特例支給開始年齢」と呼ぶ。一例として昭和20年4月2日~昭和22年4月1日間に生まれた男子は63歳から受給できる。)
受給年齢に達しても受給を受けず繰り下げ(先送り)して満66歳から70歳までの間に月単位の先送りをして受給する場合(特例支給開始年齢の該当者も一年後から先送りが出来る)は、満65歳以降に先送りした分に応じた増額が行われる。この加算額は特例支給開始年齢の該当者に加わる項目で正式には「老基加算額」と呼ぶ。例えば満70歳から受給すれば増額率は42%となる。この「加算額」は生涯加算される。
[編集] 停止額
老齢厚生年金は65歳未満(「特例支給開始年齢」からも)でも先取りして、また65歳以降に先送りして受給できるが、受給をしながら就労して報酬を得る場合に適用される。就労する企業が厚生年金制度に加入し、かつそこの正規社員の勤務時間75%以上の就労時間ならば受給者も厚生年金に加入しなければならない。
一方、厚生年金に加入するしないに関らず、老齢基礎年金または老齢厚生年金いずれかを就労しながら受給する場合、年金と報酬の月当たりの合計が28万円を越える場合負の「停止額」が加わり減額が行われる。この停止額は「老齢厚生年金」の一部を成す「老齢基礎年金」部分の減額に及ぶ事があり、この「停止額」の項目となる。この停止額の計算や仕組みは複雑である。[1]
また、雇用者である勤務先が正当な届出などを怠り、停止額が無く違法に余分に受給すると後日返還の請求がある。なお、満70歳以降は厚生年金に加入しかつ停止額は適用されるが、厚生年金の掛け金の拠出は必要なくなる(加入はするが掛け金は無い)。
また、60歳以降、老齢厚生年金を受給しながら、かつ厚生年金を掛ける場合、受給する年金を「老齢厚生年金」と言わず「在職老齢年金」と呼ぶ。 昭和12年4月2日以降に誕生した者は2007年(平成19年)4月以降70歳を越えても前述の条件で厚生年金に加入し(但し、拠出は無い)就労し報酬を得て、かつ年金を受給するならば受給額に関らずこの場合も在職老齢年金と言う。
[編集] 関連項目
- 老齢基礎年金の年金記録問題などの解決のための照合または突合せ作業に住民基本台帳ネットワークシステムも利用される。
[編集] 脚注
- ^ *老齢の年金を受けている方の届出・年金額について、停止額の算出、社会保険庁