社会学の社会学
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社会学の社会学(しゃかいがくのしゃかいがく、英: Sociology of Sociology)とは、社会学という学問そのものを研究対象として批判的に分析する社会学の一分野である。1960年代よりアメリカを中心に活発化してきた社会学における潮流であり、ラディカル社会学(英:Radical Sociology)、自己反省の社会学(英:Reflexive Sociology)とも呼ばれる。
このような同義反復を思わせる特異なジャンルが存在するのは、社会学が他の社会科学には見られない独自の観点に立っていることのあらわれでもある。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 社会学の自己批判の系譜
社会学は、オーギュスト・コント以来の経済・政治・文化などを包摂した知的総合体として構想されていたが、そのような“好き嫌いのない大食漢”のような「何でも扱ってしまう」対象の広範さは、かなり以前から伝統的・規範的な学問分野や学際化に違和感を覚える保守的知識人からの批判にさらされていた。そのような中で社会学の学問としての独自性を求める動きと同時に、より細かい専門分野へと特化していく傾向が強くなっていった[1]。
しかし、このような専門分化が進むことによって「何でも扱ってしまう」傾向に拍車がかかり、社会にあるすべての現象が社会学の研究対象とみなされるようになってきた。このような状況の中で、社会学の学問としての特性が見失われてくるようになってきたために、社会学者の中から「なぜ、社会学は社会学たるのか。即ち、社会学はなぜ他の社会科学に類例を見ない対象の広範さを維持しうるのか。また、社会学とはそもそも何なのか。学問なのか、単なる方法なのか。社会学が学問として確立され続けている現在の状況にあって、社会学が学問的にどのような意義と役割を持つのか。」という疑問から出発して、社会学という学的営為とそれを取りまく社会的事象を研究しようという動きが起こってきた。
[編集] 社会変革の動きとラディカル社会学の台頭
[編集] 脚注
- ^ このような細分化された特殊な社会学の領域を、ハンガリーの社会学者カール・マンハイムは連字符社会学(社会の様々な領域・現象と社会学の語をハイフンでつないだ社会学という意味)と呼んだ。例えば、「法-社会学」「国際-社会学」など。