百槇の話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
百槇の話(びゃくしんのはなし、Von dem Machandelboom、KHM47)はグリム童話のひとつ。「ねずの木の話」とも呼ばれている。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] あらすじ
父親と母親と兄と妹が住んでいた。兄は先妻の子供であり、妹の実の母親から常に邪魔者扱いだったが、そんな境遇でも父に文句ひとつ言わず、妹にも優しかった。
ある日、家に帰ってきた妹にリンゴを与えた母親は、兄にもあげてちょうだいとせがまれて、兄の殺人を思い立つ。少し遅れて帰宅した兄に母親は、箱からリンゴをひとつ取るように言って、兄が箱の中に首を突っ込んでるところに箱のふたを勢いよく閉めて、彼の首を切断してしまう。ふと我に返って後悔した母親は、他人が殺したように見せかけようと、首と胴体を白い布で巻いてつなげて、椅子に座らせる。
そんな兄に話し掛けても、何の返事もしないことに腹を立てた妹は怒って彼の顔を叩くと、首がごろりと転がった。兄を殺してしまったと動転する妹を母親は慰めながら、兄の遺体を切り刻んでその肉を調理中のシチューに放り込んでしまう。やがて父親が帰宅して、今夜のシチューはうまいと何杯もおかわりをする。妹は泣きじゃくりながら、兄の骨をテーブルの下から集めて、それを絹のハンカチにくるんで、ねずの木の下に埋める。
すると兄は美しい鳥に生まれ変わり、さまざまなところで美しい声を披露して、石臼、赤い靴、金の鎖を手に入れて家に帰って美しい声で鳴く。その声にまず父親が家から出てくると、金の鎖を与え、次に出てきた妹には赤い靴を与える。だが母親だけは最初は外に出ようとしなかったが、鳥の鳴き声につられてとうとう出てくると、石臼が落ちてきて死亡する。すると鳥だった兄は人間の姿に戻った。