猫の事務所
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猫の事務所(ねこのじむしょ)は宮沢賢治の童話。尾形亀之助編集の雑誌「月曜」の大正15年(1926年)2月号にて発表された。猫の事務所における5匹の猫を描いた短編で、賢治の数少ない生前発表童話の一つである。『新編・銀河鉄道の夜』(新潮文庫)および『新修 宮沢賢治全集』(筑摩書房刊)ほかに収録されている。
また、下書きとみられる原稿が現存しており、『校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房)以降の全集に「初期形」として掲載されている。
[編集] あらすじ
軽便鉄道の停車場のちかくにある猫の第六事務所は猫の歴史と地理をしらべる所。そこには大きな黒猫の事務長、一番書記の白猫、二番書記の虎猫、三番書記の三毛猫、そして、四番書記の竈猫(かまねこ)がいた。なにかにつけて竈猫はいじめられる。ついには竈猫をかばっていた黒猫に誤解されて仕事まで取上げられてしまう。その様子を見たライオンによって事務所の解散が命じられる。
:学問や仕事が何のために与えられるのかを問う作品。 最終稿で賢治は半分ライオンに賛成と記している。
[編集] 解説
この物語のラストは何の救いも提示されずに終わる。不条理さを描いた寓話といえよう。また、ますむらひろしによって漫画化されている。
なお、特徴的なラストの箇所は、「初期形」では「みんなみんなあはれです。かあいさうです。かあいさう、かあいさう。」となっており、発表版とは大きく異なっている。