犬鳴山
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犬鳴山(いぬなきやま)は大阪府泉佐野市大木犬鳴にある燈明ヶ岳(とうみょうがたけ。標高558m)を中心とする山域の総称。尾根続きの標高612mの無名峰を便宜上このように呼称することもあるが、この山域で「いぬなきやま」という名称の単独の山は、ない。また福岡県宮若市にも同名の山・峠が存在する。
[編集] 概要
名勝地や金剛生駒紀泉国定公園の指定を受けるなど豊かな自然を持つ。真言宗犬鳴派の本山「七宝滝寺(しっぽうりゅうじ)」があり、役小角が661年、大峰山山上ヶ岳の6年前に開山したと伝わり、元山上と呼ばれている。古くは犬鳴山を含む金剛・和泉山系全体を「葛城」と呼び、その中でも犬鳴山は西の行場、東の行場を持つ葛城二十八宿修験道の根本道場。日本の霊山のひとつである。
七宝滝寺参道としての犬鳴川を持ち、けして高い山域ではないにも関わらず、渓流沿いの山岳景観は「大阪府 緑の百選」にも選ばれ、地元民に深く愛されている。関西国際空港が開港してからは、空港からもっとも近い温泉「犬鳴山温泉」がある場所として名前が広がった。
[編集] 由来
犬鳴山という一風変わった名前は、七宝滝寺の山号(いぬなきさん)に由来したものである。
「宇多天皇の御代、紀州の猟師がこの山域で狩りをしていた際、突然連れていた犬が激しく鳴きだし、結果猟師が射ようとしていた鹿が逃げてしまった。怒った猟師は犬の首をはねたのだが、その首はそれでも飛び跳ね、今まさに猟師に襲いかかろうと狙っていた大蛇に噛み付いた。犬は、主人が大蛇に狙われていることを知って鳴いていたのであった。愛犬に救われたと気付いた猟師は、これを悔いて七宝滝寺の僧となって愛犬を供養した。 このことを聞いた天皇は、いたく感動し、七宝滝寺に『以後「いぬなきさん」と改めよ』と勅号を賜った」と伝えられている。