特別教育による資格の一覧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
特別教育による資格の一覧(とくべつきょういくによる・しかくのいちらん)は、日本の労働現場において、労働安全衛生法に基づき、危険又は有害な業務に労働者をつかせる場合に事業者等が教育を行い、作業あるいは運転させなければいけないものの一覧。この特別教育は学科講習(一部実技講習あり)のみで修了試験等もないなどそれほど難易度が高くなく、一定レベル以下の職務に合法的に従事できる一作業員としての資格が得られるにとどまっているため、操作・運転する機械の規模が小さいものに限られ、同法に定める作業主任者になることはできない、などの制限がある。それ以上の規模の機械の運転あるいは作業者から作業主任者へのステップアップを望む場合は、特別教育の一段上の資格として位置づけられている技能講習を修了(又は国家試験による免許を取得)する必要がある。
特別教育の内容の詳細は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第39条の規定に基づき、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)その他の告示により定められている。
労働安全衛生規則第36条の順序
- 1 研削といしの取替え等の業務に係る特別教育(機械研削用といし)、自由研削用といしの取替え等の業務に係る特別教育(自由研削用といし)
- 2 動力プレスの金型等の取付け、取外し又は調整の業務に係る特別教育
- 3 アーク溶接等の業務に係る特別教育
- 4 電気取扱の業務に係る特別教育(高圧又は特別高圧)、低圧の充電電路の敷設等の業務に係る特別教育(低圧)
- 5 フオークリフトの運転の業務に係る特別教育(最大荷重1トン未満)
- 5-2 シヨベルローダー等の運転の業務に係る特別教育(最大荷重1トン未満)
- 5-3 不整地運搬車の運転の業務に係る特別教育(最大積載量1トン未満)
- 6 揚貨装置の運転の業務に係る特別教育(制限荷重5トン未満)
- 7 機械集材装置の運転の業務に係る特別教育
- 8 伐木等の業務に係る特別教育(胸高直径70cm以上の立ち木の伐木、胸高直径20cm以上で、かつ重心が著しく偏している立ち木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかっている木の胸高直径が20cm以上であるもの)
- 8-2 伐木等の業務に係る特別教育(チェーンソーを用いて胸高直径70cm未満の立ち木の伐木、かかり木でかかっている木の胸高直径が20cm未満であるもの)
- 9 小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育(機体重量3トン未満)、小型車両系建設機械(基礎工事用)の運転の業務に係る特別教育(機体重量3トン未満)、小型車両系建設機械(解体用)の運転の業務に係る特別教育(機体重量3トン未満)
- 9-2 基礎工事用建設機械の運転の業務に係る特別教育(非自走式のみ)
- 9-3 車両系建設機械(基礎工事用)の作業装置の操作の業務に係る特別教育
- 10 ローラーの運転の業務に係る特別教育
- 10-2 車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置の操作の業務に係る特別教育
- 10-3 ボーリングマシンの運転の業務に係る特別教育
- 10-4 ジャッキ式つり上げ機械の調整又は運転の業務に係る特別教育
- 10-5 高所作業車の運転の業務に係る特別教育(作業床の高さが10メートル未満のもの)
- 11 巻上げ機の運転の業務に係る特別教育
- 12(削除)
- 13 軌道装置の動力車の運転の業務に係る特別教育
- 14 小型ボイラー取扱業務特別教育
- 15 クレーンの運転の業務に係る特別教育(つり上げ荷重5トン未満。ただし、跨線テルハはつり上げ荷重5トン以上)
- 16 移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育(つり上げ荷重1トン未満)
- 17 デリックの運転の業務に係る特別教育(つり上げ荷重5トン未満)
- 18 建設用リフトの運転の業務に係る特別教育
- 19 玉掛けの業務に係る特別教育(つり上げ荷重1トン未満のクレーン等にかかわる作業)
- 20 ゴンドラの操作の業務に係る特別教育
- 20-2 作業室及び気閘室へ送気するための空気圧縮機を運転の業務に係る特別教育
- 21 高圧室内作業に係る作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクの操作の業務に係る特別教育
- 22 気閘室への送気又は気閘室からの排気の調整を行うためのバルブ又はコツクを操作の業務に係る特別教育
- 23 潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクの操作の業務に係る特別教育
- 24 再圧室の操作の業務に係る特別教育
- 24-2 高圧室内作業の業務に係る特別教育
- 25 四アルキル鉛等の業務に係る特別教育
- 26 酸素欠乏危険作業の業務に係る特別教育
- 27 特殊化学設備の取扱い、整備及び修理の業務に係る特別教育
- 28 エツクス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に係る特別教育
- 28-2 加工施設、再処理施設又は使用施設等の管理区域内において核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによつて汚染された物の取扱いの業務に係る特別教育(加工施設、再処理施設、使用施設等の管理区域内)
- 28-3 原子炉施設の管理区域内において、核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによつて汚染された物の取扱いの業務に係る特別教育(原子力施設の管理内)
- 29 粉じん作業に係る特別教育
- 30 ずい道等の掘削、覆工等の業務に係る特別教育
- 31 産業用ロボツトの教示等の業務に係る特別教育
- 32 産業用ロボツトの検査等の業務に係る特別教育
- 33 自動車用タイヤの組立てに係る業務のうち、空気圧縮機を用いて当該タイヤの空気の充てんの業務に係る特別教育
- 34 廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育(廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う)
- 35 廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育(廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等)
- 36 廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育(廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等、これに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う)
- 37 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業に係る特別教育
[編集] 安全衛生教育
特別教育に準ずるものとして安全衛生教育がある。特別教育が労働安全衛生法の委任を受けて厚生労働省告示(労働省告示)で詳細を定められているのに対し、安全衛生教育は告示よりも格下の通達により教育の詳細が定められている。
- 刈払機取扱作業者安全衛生教育
- 振動工具取扱作業者安全衛生教育
- フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育
- 車両系建設機械(基礎工事用)安全衛生教育
- 移動式クレーン運転士安全衛生教育
- クレーン運転士安全衛生教育
- 揚貨装置運転士安全衛生教育
- 車両系建設機械(整地、運搬、積込、掘削用)安全衛生教育
- 職長・安全衛生責任者教育
- 木造建築物解体工事作業指揮者安全衛生教育