燗酒
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燗酒(かんざけ)とは、日本酒を何らかの手段であたためたもの、またはその行為のこと。燗(かん)、お燗(おかん)ともいう。
飲用時に酒をあたためることは醸造酒、蒸留酒を問わず行われているが、日常的に行われている点、細かな温度表現が使用されている点などで特異である。
鹿児島県では、焼酎に燗を付けるという。
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[編集] 温度表現
一般的な温度表現として日本酒の記事より転載する。
なお、飲用温度はあくまでも目安であり、人によって名称から連想する温度は異なる。
名称 | 飲用温度 | 備考 |
---|---|---|
飛び切り燗(とびきりかん) | 55度前後 | |
熱燗(あつかん) | 50度前後 | |
上燗 | 45度前後 | |
ぬる燗 | 40度前後 | |
人肌燗 | 37度前後 | |
日向燗(ひなたかん) | 33度前後 | |
冷や | 常温 | 冷蔵庫などで冷やしたものが「冷や」ではない。 |
涼冷え(すずびえ) | 15度前後 | |
花冷え | 10度前後 | |
雪冷え | 5度前後 |
これら以外の名称として、飛び切り燗を更に越えた温度に対して煮酒と呼ぶなど様々な表現が存在する。
[編集] 燗酒の手法
鍋や銚子を直火にかけて燗をつけていたが、文化年間には、銅製または錫製のチロリで燗をつけた。天保年間には、畿内地方ではチロリがもちいられたが、江戸ではすでに燗徳利が流行していた。
明治時代、一般に燗徳利が、まれにチロリや鳩徳利が、使用された。のちに酒場では酒燗器がつかわれた。これは、器内で湯を沸かし、内管に上から酒をそそぎ、下部の活栓をひらけばただちに燗のつけられた酒が流れ出るものである。
[編集] 歴史的変遷
『貞順故実聞書条々』によれば、酒の燗は9月9日から3月2日までであるという。
[編集] 外国
中国の紹興酒もまた、燗をつけて飲むことがあるという。