死霊の盆踊り
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『死霊の盆踊り』(しりょうのぼんおどり、原題:Orgy of the Dead)は、1965年に製作されたアメリカ映画。製作・監督A・C・スティーブン、原作・脚本エド・ウッド。上映時間91分。
平凡な演出、ダイコン演技、物語の不在、信じられないほどのバカバカしさが全編を貫く、極めつけの超オカルト・エロチック・ホラー映画。日本では1986年に公開。1987年の東京国際ファンタスティック映画祭では映画祭の正式参加作品でなく、他所の会場でのイベント上映作品に。ただし「最低映画予告編大全」との同時上映だった。
見た人の多くから史上最低のハリウッド映画やZ級ホラーなどと酷評されてしまっている映画だが、その異常なまでのつまらなさが一部で人気となり、伝説的なカルト映画として有名になった。DVD版も発売されている。
邦題をつけたのは江戸木純。配給会社はギャガ・コミュニケーションズ(日本コロムビア)。
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[編集] ストーリー
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
ある真夜中、売れない小説家のボブは、恋人のシャーリーとともに小説のネタ探しをするために墓場へドライブに。途中でシャーリーが引き返すよう強く迫り、ボブは仕方なくUターンして戻ることにした。だが、車の運転に失敗し2人は車ごと崖に転落してしまう。その頃、墓場では夜の帝王と闇の女王が死霊たちの宴を開いており、死霊となった女たちが踊っていた。その様子を物陰から見ていたボブとシャーリーは途中で見つかってしまい、縛り付けられてしばらく踊りを鑑賞させられる。そして2人は闇の女王に襲われそうになるが、その瞬間に朝日が差し込んで死霊たちは骨になり、2人は救急隊によって救出された。
[編集] キャスト
- ボブ:ウィリアム・ベイツ
- シャーリー:パット・バリンジャー
- 夜の帝王:クリスウェル
- 闇の女王:ファウン・シルヴァー
[編集] 内容
この映画は死霊とされる女性が意味もなく裸踊りをするシーンが多くを占めている。さらに、真夜中のシーンなのに突然昼に変わる、夜の帝王が明らかにカンニングペーパーを読んでセリフを言うなど、いい加減な部分が多い。また、日本語字幕が間違っていたり(「闇の女王」を「夜の女王」と出す)、日本のスタッフ側のいい加減さも伝わってくる。このようなあまりにも低レベルな出来の映画は類をみない。
[編集] 映画に関するエピソード
- 夜の帝王役のクリスウェルは、撮影現場に全くセリフを覚えないでやって来た。そのため、カンニングペーパーを見ながらセリフを言うことになった。また、クリスウェルはセリフを言うたびに絶賛する子分を連れてきていた。
- 日本での公開時、監督のA・C・スティーブンが来日。監督は東京国際ファンタスティック映画祭の正式な上映を決定事項だと信じ込んで来日したが、実際は土壇場で不合格になってしまった。江戸木らは監督に不合格になったことを伝えないよう接待し、監督は映画祭正式参加作品になったと信じたまま帰国した。
- 監督は帰国後、すぐに『死霊の盆踊りパート2』のシナリオを江戸木に送った。内容は音楽がロックになっている以外ほとんど同じだったという。
- 日本での劇場公開時、宣伝スタッフが死霊に仮装して本物の盆踊りを催した。
- ギャガ・コミュニケーションズが最初に配給した映画はこの『死霊の盆踊り』だった。
[編集] 参考資料
- 「地獄のシネバトル」 江戸木純 洋泉社刊