死亡の塔
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死亡の塔(英語題名:The Tower Of Death)は1980年製作の香港映画。 主演は『死亡遊戯』でブルース・リーのダミー俳優を演じた韓国出身の俳優タン・ロン(唐龍)。日本での公開は1981年6月。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 解説
香港では演出力に定評のあった呉思遠監督を起用し、ブルース・リーの死後、未公開となっていた彼の主演作(燃えよドラゴン)のフィルムを一部使用してつくられた作品。日本国内では、ブルース・リー主演を謳って公開されたが、実際は、リーの未公開フィルムは約3分ほどしか使われておらず、代役で水増しした分を含めても前半の約30分ほどで、主役であるはずのリーが殺されてしまう設定になっている。しかも、その間にもリー本人のアクションシーンは全く無いため、ブルース・リー作品というには、看板に偽りありの作品に仕上がっている。
当初、『死亡遊戯』の続編として企画されたため、タイトルも続編であることを伺わせる『死亡塔』と発表された。しかし、諸般の事情により、ストーリーの大幅な変更を余儀なくされ、タイトルは『死亡塔』のままでありながら、『死亡遊戯』とは全くつながりのないストーリーになった。ただし、英語版では、タイトルを『死亡遊戯Ⅱ』とし、主人公と高僧の役名を『死亡遊戯』出演時と同じにすることで、強引に続編に設定している。
[編集] 共演
- ウォン・チェンリー(黄正利)
- ロイ・チャオ(喬宏)
- カサノヴァ・ウォン(卡薩伐)
- ホー・リー・ヤン(郝履仁)
- リー・ハイサン(李海生)
- ロイ・ホラン(Roy Horan/路易士)
- タイガー・ヤン(楊成五)
- ト・ワイ・ウォ(杜偉和)
- ユン・ピョウ(元 彪)
[編集] ストーリー
[編集] 特記
- 主役である筈のビリー・ロー(ブルース・リー)がストーリー前半で死亡するという展開は、撮影途中に製作側の意向で急遽ストーリーを変えざるを得なかったという事情によるもの。事実、別の登場人物(加藤寿)がビリー・ローと全く同じシチュエーション(ヘリコプターから墜落)で死亡するスチルが存在している(韓国公開版)。過去作品のテイクの継ぎ接ぎで「ブルース・リー主演」とするには無理が生じると判断したのと、タン・ロンを主役に立てて俳優として本格的に売り出そうという思惑があったようだ。
- 当初、『死亡遊戯』の未使用テイクも使われる予定だったが、結局使われずに終わっている。
- 出演者にはウォン・チェンリーやリー・ハイサン等、当時の香港映画界ではトップ・クラスのアクション俳優が名を連ね、また劇中のタン・ロンのアクションはかのユエン・ウーピンの武術指導もありとても秀逸な出来栄えとなっている。
- 物語終盤の近未来を思わせるSF仕立てのセットは、「スター・ウォーズ」を初めとした宇宙ロマン・ブームの影響かと思わせる。
- 韓国公開版ではブルース・リーの映像がすべてカットされ、タン・ロン主演作として公開されている。このバージョンでは国際版・香港版とは異なったシーンが多く含まれており、マニアの間でブート版が出回っている。
- 日本公開版「死亡遊戯」では観ることの出来なかった”温室の決闘”シーンが、冒頭の回想で復活。カサノヴァ・ウォンの迫力あるアクションを堪能できる。
- 「燃えよドラゴン」での未使用テイク(ハンの要塞島であてがわれた自室へ入ってくるシーン、自分の著書を手にするシーン、ホー・リー・ヤンとの長い会話シーンなど)や「細路祥」、「雷雨」などの幼少から青年期に出演した作品が見られるという点では貴重な作品である。特に「燃えよドラゴン」でのブルース・リーの役名は単に”リー(李)”と認識しているが、ここで手にした本には「少林寺 振強拳法與練法 李振強著」と書かれ裏表紙にはリー自身の顔写真があることから、「燃えよドラゴン」でのリーの役名が李振強であることが推測される。(これまではスチール写真で確認できたのみ)・・・となると、ここで本作では冒頭”ビリー・ロー”であるはずのリーが書いているが、著者が”李振強”ではなく”呂比利”でないのはなぜかという矛盾が生ずる。
[編集] 日本公開版について
本作には、配給会社である「東映株式会社」が製作した日本版主題歌「アローン・イン・ザ・ナイト」と、日本版挿入歌「フォールン・ヒーローズ」があり、どちらもカンフー映画ファンの名曲として知られる。黒画面をバックに字幕監修画面が現れ、OPには「アローン・イン・ザ・ナイト」が流れ、「TOWER OF DEATH」と表記される。いたる箇所に日本オリジナル音楽が流れ、EDは日本オリジナル。「死亡の塔」の名場面?の数々が流れる。「アローン・イン・ザ・ナイト」と「フォールン・ヒーローズ」がフルで、続けて流れるため、非常に長いEDとなっている。ファンの間では、PONYビデオ+TV副音声で編集されたものが出回っており、完成度の高さに魅了されるファンも多いとのこと。