機動公務員かもしか!
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『機動公務員かもしか!』(きどうこうむいんかもしか)は、週刊少年サンデーで1999年22・23合併号から2000年35号まで連載されていた漫画。作者は村枝賢一。
目次 |
[編集] 概要
[編集] ストーリー
平成11年4月、桃栗三平18歳は坂上市役所に採用され、赴任の途中でカモシカを拾ったりしつつ着任する。配属予定の「特別機動課」という勇ましい名称に、またこれからの公務員としての生活に期待を膨らませつつ。しかしそこは、その名称とは裏腹に全く仕事がなく、窓際族の寄せ集めだった。一度は落ち込んだ三平だったが、持ち前の正義感と行動力で次第に周囲を巻き込みつつ、活躍していくことになるのだった。
[編集] 解説
市役所の、それも新規採用職員を主人公とした漫画である。なぜこのような形式になったかについては、漫画家になりたてのころまだあまり社会経験がなく、漫画の題材とする職業がリアルにイメージできずにいた時に思いついたもののひとつが「なんでも屋」だったが、それから10年ほど後「市役所」がその「なんでも屋」にあてはまるのではないかと気づいた、というような内容のことを、コミックス第1巻のあとがき漫画で語っている。 1話完結と数話連続のエピソード(本作では「案件」と称される)で構成され、その内容は市民のプライベートから市政に関わることまで多岐に渡る。
- "坂上市(さかうえし)"
人口30万人で、さらなる発展を目指すベッドタウン。キャッチコピーは「あったかライフ坂上市」。市役所の所在地は坂上市坂上本町2-3-1。郵便番号101-8001。市章は、「○に∧」。職員数約1,500人。
- "かもし課"
旧(仮)称「特別機動課」。「どこの課の担当業務でもないが、行政がやらなければならないこと」が業務内容であったが、そのような業務は実際には存在しないと思われており、市役所内では「リストラ課」「どうしよう課」「もうイラねぇ課」などと揶揄されていた。船橋によれば、そもそも市長の思い付きでできた「なんでも屋」であり、実際には窓際族の寄せ集め状態であった。
三平の赴任からおよそ1カ月後の平成11年6月1日付けで正式発足し、「かもし課」と改称した。改称の理由は、広報「坂上だより」によれば、特別機動課が野生のカモシカを保護したことにちなんで(実際には案件1=第1話で、赴任前の三平が保護)市民に親しんでもらえるようにとのこと。また、主な事務分掌は住環境に関するトラブル・市道の簡単な補修・害虫害獣駆除などを予定、組織の枠を超えた複合的な課題に対応するための窓口であり、カモシカのように迅速にどこへでも駆けつける旨が書かれていた。
正式発足を機に、「あったかライフ坂上市」「かもし課」の文字およびデフォルメされたカモシカのイラスト(ツルハシを持ち、坂上市の市章入り)が背中に描かれた、市長デザインの真っ赤な新ユニフォーム(作業服)が支給されたが、職員にも市民にも「ヘンな服」と思われている。
[編集] 登場人物
[編集] かもし課
- 桃栗三平(ももくりさんぺい)
- 本作の主人公。18歳。何事にもまっすぐ、全力で向かっていく「熱血公務員」。平成11年4月28日付けで、坂上市役所特別機動課勤務を命じられた。初出勤時にカモシカを保護、これが「かもし課」命名のきっかけとなる。当初は特別機動課の仕事の無さに愕然としていたが、次第に周囲を自分のペースに巻き込んでいくこととなる。落ち込んだ時には屋上やジャングルジムに登って真っ白になっていたりしたが、高いところが好きなので、そうしていれば復活する。銭湯の二階廊下に下宿中。家族は、母・姉・兄・妹で、父はあることがきっかけで行方不明となっている。
- 船橋轍(ふなばしてつ)
- 三平の一コ先輩。かつてはトルエンの密売までしたという不良で、その外見も「かもし課のユニフォームを着ても特攻服にしか見えない」などと陰口をたたかれる始末。かもし課員であることは、仕事もしないで身分が保障されている結構な状態と考えていたが、元々は熱い心を持った男であったため、三平に影響されて次第に変わっていく。受付担当の辻堂都に惚れていて、勤務時間中にちょっかいを出しては、市長に注意されている。
- 大滝秀隆
- 課長。かつては建設畑で「情の大滝」と呼ばれた幹部候補だったが、公務員は国に逆らうなという道理に疑問を感じドロップアウト、特別機動課長に。勤務時間中も通販誌のチェックをするだけでなにもしていないように見えたが、防災課の職員が天候について意見を聞きにくるなど、頼りにされていた。三平赴任後は、様々なアドバイスをしバックアップしていく。
- 田中忍
- 保険年金課から本人の希望で異動してきた、「かもし課第3の男」。その外見から、女性と間違われることがある。以前は思ったことを行動に移せないような性格だったが、三平とかかわったことで、人の役に立ちたいという気持ちを出せるようになった。
[編集] 特別職
- 宝田万作(たからだまんさく)
- 市長。福祉や雇用のほか数々の問題を、「意外とも言えるひらめき」で解決してきた。いたずら好きでお茶目なところもある。かもし課の生みの親である。
- 亀木戸丈吉(かめきどじょうきち)
- 助役。「市民も泣き出すご意見番」といわれるカタブツ。糖尿病で入院していた。一時、かもし課を敵視する。
[編集] 他部署
- 辻堂都(つじどうみやこ)
- 受付担当。舟橋がいつも暇そうにしていることから、特別機動課が何をしているのか不思議に思っていた。かもし課を見下すような態度をとる職員も多い中、彼女は好意的な態度で接する。誘いをかけてくる船橋には、少々あきれている様子。
- 蘇我(そが)
- 都市開発部長。大滝と同期で、通称「道理の蘇我」。大滝とコンビを組んでいたころは、「坂上のブルドーザー」と呼ばれていた。身体が大きく強面で声もデカく、三平にはすぐゲンコツを喰らわせるが、実は話のわかるきわめて良識的な人物。
- 寺泊(てらどまり)
- 商工課員。かつて街を活性化させようとしたことがあるが、協力が得られずに挫折。人は自分が信じたようには動いてくれないと考えるようになり、三平と対立するが…。
- 鏡(かがみ)
- 動物保護センター職員。安易に動物を飼い、簡単に捨てるという世間の風潮や、坂上市の犬だけでも年間2千頭近くが持ち込まれ、その9割が殺処分される現状に怒りを覚えている。一見非常に無愛想だが、決して冷たい人間ではない。
[編集] 市民
- 間宮楓(まみやかえで)
- 女子高生。案件6で三平と出会う。かつて父親とのささいな行き違いから、好きだった絵を描くことをやめて以来少々スネてしまい、夢を語るなどの行為をバカにするようになってしまっていたが…。後に、次第に三平に好意を感じるようになった。放課後、16時から17時半まで、かもし課でのアルバイトを申し出る。
- 宮本寿子(みやもとひさこ)
- 駄菓子屋の店主。駅前ロータリー建設のための土地買収にただ一人応じず、その説得が三平の初仕事として回ってきた。買収に応じない理由を知った三平は、とんでもない行動に出るのだが…。
- 金子しの(かねこしの)
- 市内で、不動産屋を始め、銭湯、パチンコ店、仏具店、洋服店など多数を経営。三平の大家である。金銭には厳しい。
- 勝村龍治(かつむらりゅうじ)
- 市に建っている家のほとんどは自分が建てたと豪語する、建築一筋の大工の棟梁。
- 宮山素子(みややまもとこ)
- 元は「占有屋」であったが、三平の優しさに触れ出直すことを決意した。
- 文取文次(ぶんどりぶんじ)
- ヤクザの「文取組」の跡取り。小学生のころ三平と同じクラスになったことがあり、さんざん迷惑を被ったことを怨んでいた。偶然再会した三平に対し、復讐を画策するが…。