最高位戦八百長疑惑事件
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最高位戦八百長疑惑事件とは、1980年に行われた第5期最高位戦の決定戦において起こった八百長疑惑である。
決定戦の中盤、1位から離された2位につけていた競技者が打ち出した牌が事件の焦点である。この牌はドラであり、かつ3位(点差から考えて優勝はかなり困難と思われていた)の競技者にとっての高めの当たり牌であった。しかし、3位の競技者はこれを見逃し(ロンを宣言しないこと)た。その行為について、(2位と3位の競技者は師弟のような関係であったことから)「(自分と比べて逆転優勝のチャンスが高い師匠格の)2位の競技者からは当たるまいとする故意の見逃しではないのか」「2位の競技者も3位の競技者が自分の捨て牌では当たらないとわかっていたのではないか」との疑惑が持たれ、主催者側の判断で決定戦は途中で打ち切られた。当事者の2名は疑惑を否定したものの、最終的に失格となり、打ち切り時に1位につけていた出場者が第5期最高位に、4位だった者が2位に認定された。
この事件をきっかけに、決定戦において2位・3位につけていた出場者を中心に多数のプロ雀士が、当時、最高位戦を主催・運営し、麻雀専門誌「近代麻雀」(廃刊。現存する同名の麻雀漫画雑誌とは別物)の発行元でもあった竹書房と袂を分かち、新団体「日本プロ麻雀連盟」を設立するに至った。以後、日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士が最高位戦や「近代麻雀」誌上に登場することはなくなった。そのため、この騒動はプロ麻雀界を分裂させ、昭和40年代に巻き起こった第二次麻雀ブームを衰退させる一因となったとも言われる。