日雇健康保険
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日雇健康保険(ひやといけんこうほけん)は、日々、雇い入れをされる労働者を対象とした政府管掌の健康保険。
[編集] 概略
社会保険庁から委託された市町村が事務取扱を行う。被保険者に交付された被保険者手帳に、雇い入れられた日毎に事業主が印紙を貼付し、月別の通算印紙枚数により被保険者の受給月数が決まる。
市町村の確認事務によって計算された受給月数によって被保険者受給資格者票(保険証に相当)の受給資格確認欄の該当月に確認印が交付される。尚、貼付される印紙は被保険者の給与日額によって等級が異なる。
2カ月間で通算して26枚以上の印紙が貼付されていれば、翌月の受給資格が確認される。
例えば6月5日に被保険者手帳を交付された場合、6月と7月の通算印紙枚数(=就労日数)が26枚以上の場合、8月1日から8月末日までの受給期間が確認される。 この場合、6月5日から7月末日までの間の無保険状態を回避するために被保険者特別療養費制度が存在する。 この制度は、手帳交付日から2か月以降の直近月末日を限度として被保険者受給資格を特別に与えるもので、日雇労働での月間13日以上の就労を確約する者にのみ適用される。
被保険者にとって、こうした毎月の確認申請があることと、一部手当の給付を除けば、他の健康保険とほぼ同等の給付内容である。
被保険者手帳に貼付される印紙は1級から11級まで等級が存在する。雇主から支払われる日当額により等級が決められる。印紙等級は確認事務における受給月数計算には影響しないが、傷病手当金等の算出根拠となる。
市町村は確認業務一件(受給月数確認、手帳交付、各種手当金申請等)あたり、数十円を社会保険庁から交付される。 当然、その程度の金額では市町村にとっては収益業務にはあたらないが、不安定な就労環境にある住民サービスとして業務に組み込まれている。
高度成長期においては日雇労働者の雇入れが様々な産業現場で恒常化していたが、日雇労働者の絶対数減少とかつて日雇労働者であった者の高齢化により被保険者は減少傾向にある。