文書提出命令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
文書提出命令(ぶんしょていしゅつめいれい)は、民事訴訟手続きにおいて、本案訴訟の相手方又は第三者が所持する文書に対して、証拠の申し出を求める本案訴訟に付随する裁判。
目次 |
[編集] 申立
文書の表示、文書の趣旨、文書の所持者、文書により証明する事実、提出義務の原因を明記して、書面によりしなければならない(民事訴訟法221条1項、民事訴訟規則140条1項)。
[編集] 文書提出義務
現在の民事訴訟法では一般義務化がされ、当事者の引用文書、申立人が引渡し又は閲覧請求権を有する文書、申立人にとっての利益文書・法律関係文書のほか、一般義務文書が対象となる。公務秘密文書、自己利用文書、刑事・少年事件記録については提出義務がないが、その審理はインカメラ(秘密審理)で裁判所が当該文書を提示させて判断することができる。
[編集] 各種手続
文書提出命令の申立てがあると、裁判所はその判断をしなければならない(最判昭30年3月24日民集9巻3号357頁)。裁判は決定でなされ、不服のある所持者である当事者若しくは第三者又は却下決定の申立人は、即時抗告することができる。当事者が文書提出命令に従わないとき、裁判所は申立人の主張を真実とみなすことができる(民事訴訟法224条1項)。第三者に対して文書提出命令を発するには審尋が必要であり、従わない場合は20万円以下の過料に処する決定をする。
[編集] その他
- 文書送付の嘱託(民事訴訟法第226条)
- 文書の留置(民事訴訟法第227条)