平成仮面ライダーの変身アイテム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
平成仮面ライダーの変身アイテム(へいせいかめんライダーのへんしんアイテム)では、仮面ライダーシリーズのうち、『仮面ライダークウガ』以降の作品に登場する変身用アイテムについて述べる。
目次 |
[編集] 概要
『仮面ライダークウガ』以前の仮面ライダー(俗に言う“昭和ライダー”)は、主人公が肉体をメカや人工細胞に置き換えた「改造人間」(強化人間)である、と言う設定を基本としており、ライダーへの変身は多くの場合、独特のポーズ(変身ポーズ)を取り、体内の変身スイッチを起動する事で変身するというパターンが多く用いられた。(一部ライダー除く)
- ※“昭和ライダー”における、いわゆる“ライダーベルト”は、ライダーの体内に宿る超人的パワーを“光る・回る”などで視覚的に示すためのメーターの様なモノであり、変身する為に必要なものでは無い事が多い。(一部ライダー除く)
しかし現在では、医療の進歩により身体器官を人工的に代替する事が一般的に行なわれており、「改造人間」という設定を一般視聴者が多く見る番組で用いる事は人権上・放送倫理などの観点上から問題のある表現とされ、避けられる事が多くなってきた。
こういった理由により、平成の仮面ライダーシリーズにおいては、主人公は身体的には改造人間では無く普通の人間で、何らかの超自然現象や高度な科学力により常人を越える超人的な能力を得た戦士、と言う設定が用いられている。
この設定は副産物として、各作品ごとに異なる背景(主役ヒーローの力の根源)を設定する必要性を生み、派生的に主人公が「変身」可能な理由付け・変身に必要な道具の設定の必要性を生んだ。
これらの事情を背景とし、平成ライダーの変身アイテムは当初こそ昭和ライダー同様“力の象徴”的なものが多かったが、やがて変身する為に必要なモノへと変化し、作品ごとに様々な変身アイテムのバリエーションを生み、現在に至っている。
(商業的な観点から見ると、スポンサーの玩具展開上、ワンパターンを避ける意味での必然であり、“変身アイテムはおもちゃにし易い”という理由も推察できる)
なお、ライダーの変身アイテムというと一般的には「ベルト」を連想する人が多いのだが、近年は仮面ライダーG3 (G3-X) や仮面ライダー響鬼(音撃戦士)らの様に、ベルトを用いない、独特の変身手段を持つライダーも多い。(本項目名や記述も、こういった背景を考慮に入れ、平成仮面ライダーの変身アイテムとしている事に留意されたい)
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 各ライダーごとのリスト
[編集] 仮面ライダークウガ
超古代文明のロストテクノロジー。クモ種怪人の襲撃に遭遇した五代雄介が思いつきで出土品のベルトを拾い、変身したことで古代戦士「クウガ」の復活が実現した。
しかし、ベルトおよびそのエネルギー源となっている霊石が雄介の身体と一体化してしまい(それにより肉体も強化。『アマゾン』『BLACK』の設定を継承していると言える)、怒りに任せて戦いに没頭し続けると体内の組織が侵食され、果ては敵(グロンギ怪人)と同様の戦闘生命体になるかも知れないと言う恐怖がドラマを盛り上げていた。
物語が進むにつれ、リント(古代人類)文字の解読が進んだことで雄介も自己の能力をより把握出来るようになった。また敗北時の電気ショック治療(除細動)が新しい力を生み出すなど、物語全体が「クウガ」のパワーアップ史的な側面を持っていた。これらのことから「改造人間」という設定こそ廃されているものの、異形のヒーローである仮面ライダーの特性は形を変えて十分に生かされていたと言える。
なおベルトの名前は「アークル」、霊石の名前は「アマダム」であるが、「アークル」に関しては作品中では仮面ライダーという名前や各フォーム名同様使用されなかった(但し、古代文字の解読の場面で「アークル」という台詞はある)。
[編集] 仮面ライダーアギト
津上翔一=沢木哲也は白服の青年(光の力。敵ボスである黒服の青年=闇の力と相反する存在)によってアギト因子を目覚めさせられ、超人類「アギト」への変身能力を得る事になった。初変身時は彼を狙って襲ってきた水のエルに敗北、船から落ちて海岸に打ち上げられた挙句、記憶喪失になるというハンデを負ってしまう。そのため、物語が終盤に入るまで、翔一自身も何故自分がアギトへと変身でき、アンノウン(ロード怪人)の存在を察知出来るのかを覚えておらず、そのことは大きな謎として物語を引率していた。そのためアギトのキャッチフレーズは「既に仮面ライダーである者」であった。 ベルトの名前は「オルタリング」であり、前作「クウガ」同様劇中において名前は呼ばれなかった。
G3(G3-X、G3-MILD他)は生身の人間が装着する強化服システムによる。これは警察の開発によるものであるが、後に強化型の設計図が自衛隊によって奪われ、後述のG4の悲劇をもたらすことになる。G3のキャッチフレーズは「仮面ライダーになろうとする者=氷川誠」であり、その位置づけはライダーマンに近い。装着する強化服も変身アイテムやキーワードで瞬時に身にまとえるものではなく、専用のトレーラーの中で装着者と技術者の手で「変身」した。肉体的には全くの普通の人間が「変身」する史上初の仮面ライダーであった。 ベルトの名前は「Gバックル」である。
また、強化服はメンテナンスさえ経れば氷川以外の他者にも装着可能であるため、『その気さえあれば、誰でも仮面ライダーになれる』という夢を児童層にアピールするものであったこともある。(後の「555」が更にそれをアピールすることになる。)
葦原涼が変身したギルスは、バイク事故の影響で、涼の中に眠っていたアギト因子が不完全な形で発現したものとされている。当初は変身するごとに涼の身体に老化現象を起こしていたが、後にこれを克服。強化体であるエクシードギルスに変身できるようになった。エクシードギルスの異形ぶりはアマゾンやシンに続き、新たな仮面ライダーのイメージを開拓したと言える。ギルスのキャッチフレーズは「仮面ライダーになってしまった者」で、ベルトの名前は「メタファクター」。
G4はG3の後継機として開発され、非常に高い性能を持っていたが、装着者に過酷なダメージを与え、最終的には死に至らしめるという重大な欠陥が発見され凍結されていた。しかしデータを盗まれたことにより完成し、多くの悲劇をもたらすことになる。 ベルトはG3同様「Gバックル」。
アナザーアギトは木野薫が、あかつき号内で光の力が翔一に放った波動の余波を受け、その結果アギト因子を得て変身可能になった形態。姿や能力は、翔一のようにアギト因子を遺伝的に持つアギトのものとは違い、ギルスが偶発的にではなく、順調にアギト因子を発現させて完全な覚醒を遂げたものと等しい。 ベルトの名前は「アンクポイント」である。
[編集] 仮面ライダー龍騎
神崎士郎の誘いを受けた者がカードデッキをVバックルにセットすることで仮面ライダーに変身する。そのままでは「ブランク体」と呼ばれる状態で、さほど戦闘力がない。しかしカードデッキ内のコントラクトカードを使いミラーワールドにいる特定のモンスターと契約することで高い戦闘能力を持つ仮面ライダーになる事が可能。また、「バイザー」と呼ばれる召喚機(体の一部、または武器)にカードを差し込む事で技を発動する。
香川英行が開発した擬似ライダーオルタナティブおよびオルタナティブ・ゼロも同様のシステムで変身する。アイテムの名前も同じカードデッキとVバックルだが、その形状は仮面ライダーのものとは全く異なる。
倒したモンスターの魂か、人間の魂を定期的に契約モンスターに与えないと契約者自身が契約違反として喰われるという諸刃の剣的なシステムでもあった。
この時点から「変身アイテムさえあれば誰でも仮面ライダーになれる」(本作に登場するライダーたちは皆、普通の人間である)ことが提示され、子供たちだけでなく大人にも熱狂的なファンが存在したため、後に完全受注生産で大人サイズの変身ベルトが発売された。
[編集] 仮面ライダー555
携帯電話型デバイスと変身用ベルトがセットになったもので、その正体はスマートブレイン社によるオルフェノク処刑人用アイテム…そしてオルフェノクの王を守護する者のための兵装であった。そのため、本当の意味で誰でも変身できるわけではなくオルフェノク因子を持たない者が変身しようとした場合の効果はベルトによって異なる(ファイズ:変身できずベルトから吹き飛ばされる、カイザ:変身できるが戦闘終了後に死亡、デルタ:変身できるがベルトの力に魅入られ精神に異常をきたす)。
変身方法は仮面ライダーファイズと仮面ライダーカイザ及び仮面ライダーサイガと仮面ライダーオーガは各変身コードを携帯電話に入力し、携帯電話をベルトにセットすることによって変身する。仮面ライダーデルタは「変身」と音声入力をしベルトにセットすることにより変身する。
前作以上に着脱可能なベルトを使って誰もが変身できることを更に推し進めたことと、児童に人気のある携帯電話というモチーフのため、ファイズドライバーの玩具は100万本以上の売上を記録する大ヒットとなった。更に本作から大人サイズの変身ベルト玩具も完全受注生産で発売されるようになった。また自らをオタクと公言する庵野秀明も、自身の出っ張ったおなか専用に(伸ばして)合わせて作ったベルトを持っている。
過去の作品においてはライバルライダーや偽ライダーが主人公たちを苦しめる役割だったが、今作では3つ(劇場版のサイガ・オーガ、TVシリーズのライオトルーパーを含めれば6つ)のベルトが時には主役以外の人物の手に渡ることもあり、敵役のオルフェノクがライダーに変身して主人公たちを苦しめるという展開すらあり、シリーズ中、もっとも変身ベルトがクローズアップされた作品である。
[編集] 仮面ライダー剣
ブレイド・ギャレン・レンゲル、及び劇場版に登場したグレイブ・ラルク・ランスは人類基盤史研究所(BOARD)の開発した「ライダーシステム」により、「バックル」に「カテゴリーA」のアンデッドが封印されたカードを挿入して、それを装着しターンアップ及びオープンアップすることにより変身(カテゴリーAの力で強化スーツを生成)する。また武器状の「ラウザー」にカードを読み込ませる事で技を発動、戦いを繰り広げる。アンデッドとの融合係数が高い適合者のみが変身可能で、融合係数が低ければ弱体化し、最悪の場合で精神崩壊にまで至ってしまう。レンゲルの場合、「クラブのA」の闇の力をコントロールできるかが焦点となった(しかし、「クラブのQ」と「クラブのK」のコンボで、闇の力を100%コントロールできるようになった。)。
カリスはアンデッドであるジョーカーが「ハートのA」のマンティスアンデッドが封印されたカードを読み込ませて変身する。彼のみバックルがラウザーを兼ねており(カリスラウザーと呼称)、バックル部分=ラウザーユニットはベルトから着脱可能である。またジョーカーの場合はカテゴリーAでなくとも変身できる(ラウズしたカードに封印されているアンデッドの姿となる。)、その為ハートのAを奪われた際には他のカードを用いて戦ったこともある。彼の人間体も実際はヒューマンアンデッド(見た目がただの人間)への変身である。
[編集] 仮面ライダー響鬼
肉体と精神を特殊な修行によって鍛え上げた者が、『鬼』(仮面ライダー)へと変身した姿。
今回のシリーズでは、変身アイテムはベルトではなく、楽器(変身音叉・音角など)で鬼に変身する。ベルトは必殺技・音撃を発動させるための術具となっている。
本作は「完全新生」を掲げ、新しいライダー像を目指したため、あえて従来の恒例の設定などが廃され、過去作品に慣れた眼には違和感を覚えるものも多いが、逆にそのことが目新しさや興味深さをもたらしているのも事実である。
商品展開的にも『心身を極限まで鍛え上げれば鬼(仮面ライダー)になれる』という新タイプの設定が、変身アイテム玩具の売上に貢献することを期待されていたが、かつてない新路線は児童には魅力が理解し辛いものであったため、他作品と比べて厳しい玩具売上であったことも特筆しておく。
なお、式神として駆使されたディスクアニマルの玩具は、グッドデザイン賞を獲得した。
[編集] 仮面ライダーカブト
前作『仮面ライダー響鬼』の玩具売上が不調だったこともあり、響鬼以前の従来の設定だったベルトなどのアイテムによって変身する設定に戻った。 昆虫型の半生体メカ「ゼクター」に認められた者(適合者)だけが変身できる。適合者が「ゼクター」を召喚し、変身アイテム(カブト・ガタック・キックホッパー・パンチホッパー・ダークカブトがベルト、ザビー・コーカサス・ヘラクス・ケタロスがブレス、ドレイクが銃のグリップ、サソードが剣など、それぞれのライダーごとに形状が異なるのも特徴的である)にセットする事で変身する。
今回は「脱皮」をテーマにしているため、初めはマスクドフォームというパワー重視の重装甲形態へ変身する。強力な必殺技(カブト・ガタック・ダークカブトがライダーキック、ザビーがライダースティング、ドレイクがライダーシューティング、サソードがライダースラッシュ)および超高速の特殊移動、クロックアップを発動する為には、さらに「キャストオフ」(脱皮)して機動力重視のライダーフォームへ変身する必要がある。 ただし、コーカサス・ヘラクス・ケタロス・キックホッパー・パンチホッパーはマスクドフォームを持たず、直接ライダーフォームへ変身する。
[編集] 仮面ライダー電王
仮面ライダー電王はライダーパスをデンオウベルトの中心部・ターミナルバックルにセタッチ(セット&タッチ)する(かざす)ことにより変身を行う(ただしウイングフォームは専用のベルトが存在する) 。劇場版に登場する仮面ライダー牙王も同様である。
時間からの干渉を受けない「特異点」である野上良太郎のみが変身を許されたが、良太郎が単に変身した場合は最も基本的で弱いプラットフォームになる。この状態では電王の武器であるデンガッシャーも使えない。変身に際してか、変身後にベルトについているフォームスイッチを押すことで、良太郎に憑依したイマジンの力を借り(ボタンによって憑依するイマジンが選択される)、各種フォームに変身して力を発揮する。
各種フォームごとに電車の発進音のような音と各種フォームの得意とする戦法、デンガッシャーの形が違う。
仮面ライダーゼロノスはゼロノスカードをゼロノスベルトにアプセット(挿入)することで変身が行われる。ゼロノスカードをアプセットする際に緑の面を表にすることでアルタイルフォーム、黄色の面を表にすることでベガフォームへ変身する。
やがて、すべてのカードを使い果たした時に、謎の人物(その正体は別の時間軸の桜井である。)から赤いカードを受け取る。この時にはゼロフォームへ変身する。
そして、良太郎は変身携帯ケータロスを手に入れることによってすべてのイマジン(ジークとデネブ、メガタロスを除く)を同時に憑依させたクライマックスフォームへの変身に成功する。それをきっかけにキングライナーとの遭遇によって最弱だったプラットフォームが最強のライナーフォームへ成長を遂げる。その場合はデンガッシャーではなく、デンカメンソードを使った。