平ダム
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平ダム(たいらダム)は、長野県東筑摩郡生坂村と長野市大岡(旧更級郡大岡村)との境、信濃川水系犀川に建設されたダム。東京電力が水力発電のために建設した、高さ19.5メートルの重力式コンクリートダムである。
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[編集] 歴史
戦後、犀川での発電事業として水内ダム・水内発電所を継承した東京電力は、1954年(昭和29年)に水内ダム下流で笹平ダム・小田切ダムを完成させる。同年、水内ダム上流でも水力発電所ならびにダム新設に向け水利権を取得した東京電力は、1955年(昭和30年)より平ダム・平発電所の建設に着手。完成した平発電所は1957年(昭和32年)11月11日より運転を開始した。
完成当時の平発電所は発電所内に運転員が常駐する有人発電所であったが、1964年(昭和39年)の生坂ダム・生坂発電所完成を期に無人化され、生坂発電所からの遠隔操作にて運転されるようになった。現在では信州新町にある犀川総合制御所より平発電所を含む犀川5発電所を遠隔操作している。
[編集] 周辺
平ダムは水内ダムと生坂ダムとの中間に位置する。ダム左岸を国道19号が通過。直近には生坂村営バス「平発電所前」バス停があり、JR篠ノ井線・明科駅から40分間程度である。平ダム湖(人造湖)では筑摩山地に端を発し、麻績(おみ)村や筑北村を経て流下する麻績川が犀川に合流している。平ダムから長野県道55号大町麻績インター千曲線を筑北村方面に向かって進むと、麻績川が形成する渓谷・差切峡を経て長野自動車道・麻績インターチェンジに至る。
[編集] 水の使用に関する問題
2007年(平成19年)3月14日、東京電力は平発電所において河川から不当に水を取り入れ、飲料水や発電用水車の冷却水などに利用していた事実を明らかにした[1]。河川から発電目的以外の水を取り入れる許可は1956年(昭和31年)7月16日に得ていたが、1959年(昭和34年)3月31日をもって失効したにもかかわらず、更新手続きがなされないまま以後発覚に至るまで取水を行っていたというものである。
- 脚注
- ^ 東京電力株式会社「当社水力発電関連施設に係る調査報告書の提出について」2007年3月14日
[編集] 参考文献
- 「千曲川電力所の歩み」編纂委員会編集『千曲川電力所の歩み』2001年12月、東京電力株式会社千曲川電力所発行。
- 東京電力株式会社「平発電所における水の使用状況について」(PDF) 2007年3月14日。
- 生坂村「生坂村営バス犀川線時刻表」(PDF)