小西甚一
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小西甚一(こにし じんいち、1915年(大正4年) - 2007年(平成19年)5月26日)は、日本文学・比較文学者。1951年「文鏡秘府論考」により日本学士院賞を35歳の若さで受賞。1999年文化功労者。元筑波大学副学長、筑波大学名誉教授。
[編集] 来歴・人物
三重県伊勢市生まれ。1940年(昭和15年)東京文理科大学卒業。専攻は日本中世文学、比較文学で、飯尾宗紙の連歌や世阿弥の能等、また、俳句研究にも造詣があり、松尾芭蕉に関するものも多い。東京教育大学教授、スタンフォード大学客員教授、プリンストン大学高等研究員等を歴任。アメリカ合衆国の日本文学研究者、アール・マイナー、ロバート・ブラウアーと共著で、『古今和歌集』の配列が、恋の始まりから終りまでを示しているという論文を英文で発表したこともある。
1992年に『日本文藝史 全5巻』で大佛次郎賞を受賞し、1999年文化功労者顕彰。『日本文藝史』は第一巻刊行と同時に英訳版が出ている。政治的には右派であり、その最後は三島由紀夫の礼讃で終わっている。著書に『梁塵秘抄考』、『文鏡秘府論考』、『能楽論研究』、『俳句の世界』等がある。また大学受験者向けに書かれた『古文研究法』(洛陽社)は単なる受験参考書を超えた国文学入門書としてファンが多く、ロングセラーとなっている。
2007年5月26日、肺炎のため東京都西東京市の病院で死去。享年91。
[編集] 著書
- 梁塵秘抄考 三省堂, 1941
- 文鏡秘府論考 研究篇 上 大八洲出版, 1948
- 文鏡秘府論考 第2 下 大日本雄弁会講談社, 1951
- 俳句 研究社出版, 1952 (「俳句の世界」講談社学術文庫)
- 枕冊子新釈 金子書房, 1953
- 日本文学史 弘文堂, 1953(のち講談社学術文庫)
- 文鏡秘府論考 第3 大日本雄弁会講談社, 1953
- 能楽論研究 塙書房, 1961
- 宗祇 筑摩書房, 1971
- 「道」-中世の理念 講談社現代新書, 1975(「中世の文藝」講談社学術文庫)
- 新校六百番歌合 有精堂出版, 1976
- 日本文藝史 1、2 講談社, 1985
- 日本文藝史 3,4 講談社, 1986-87
- 日本文藝史 5 講談社, 1992
- 日本文藝の詩学 みすず書房, 1998
- 一言芳談(校注) ちくま学芸文庫, 1998
[編集] 英訳
- A history of Japanese literature、translated by Aileen Gatten and Nicholas Teele、edited by Earl Miner v. 1 - v. 3 Princeton University Press, 1984-1991