宮本康昭
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宮本 康昭(みやもと やすあき)は、日本の法学者。専門は刑法。元東京経済大学現代法学部教授。弁護士。
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[編集] 人物
東京経済大学では、刑事法の教員としていくつかの講義と演習科目を持った。講義中は、私語の多い学生に対して退室を命じるなど厳しい面も見られた。
東京経済大学現代法学部では必修科目として、裁判制度の概要を学習する「裁判傍聴演習」という科目があり、講義の中では毎年、上記の「宮本判事補事件」が紹介された。宮本が出演している「日独裁判官物語」という映像の上映も毎年恒例となっている。
[編集] 宮本判事補再任拒否事件
1971年、熊本地裁判事補であった宮本の再任を最高裁が拒否した事件。
裁判官の任期は憲法の規定により10年となっているが、日本の裁判所では「職業裁判官制度(任官された者が定年まで裁判官を続ける制度)」が採用されているため、任期の終了ごとに内閣によって再任されることが原則となっている。最高裁は再任拒否の理由を「人事上の機密」として発表していないが、宮本は青年法律家協会(青法協)に所属しており、そのために再任を拒否されたと言われている。また、矢口洪一元最高裁長官は、御厨貴東大教授らの聞き取り(オーラルヒストリー)に対して、この再任拒否事件の背景に「裁判所内の派閥闘争があり、宮本がたまたまその標的にされた」と証言したと言われている。
[編集] 略歴
- 九州大学法学部法律学科卒業。
- 司法試験合格後、司法修習を経て、13期裁判官任官。熊本地方・家庭裁判所判事補。
- 1971年「再任拒否事件」により退官し弁護士となる。
- 2002年 最高裁「裁判官任命手続の透明化を図るための委員会」委員。
- 2004年 東京経済大学現代法学部教授。
- 2006年 東京経済大学現代法学部退職。
- 日本弁護士連合会司法改革実現本部運動委員。
[編集] 著書
- 『危機に立つ司法』(汐文社、1978年)
- 『刑事実務の研究』(日本評論社、1971年)…共著