安西水丸
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安西 水丸(あんざい みずまる、本名:渡辺 昇(わたなべ のぼる)、1942年7月22日 - )は、イラストレーター、漫画家、エッセイスト、作家。東京都生まれ。日本大学藝術学部美術学科造形コース卒業。
[編集] 来歴
幼少期を千葉県千倉町(現・南房総市千倉町)で暮らす。その頃の体験や思い出は、初期の漫画作品、エッセイ、小説など多くの作品に登場している。「千倉」は安西水丸にとっての、重要なキーワードとなっている。千倉はすべての心象のルーツであるように描かれている。なお、ペンネームの「水丸」は、千倉によくあった、土蔵についている「丸に水」の魔よけマークに由来する。
日本大学豊山高等学校、日本大学藝術学部卒業後、電通に就職するも退社、27歳のころに渡米し現地でADAC(N.Y.のデザインスタジオ)へと就職。帰国後、平凡社のADとなり、そこで当時太陽の編集をやっていた嵐山光三郎に誘われたのをきっかけにイラストレーターへと転向。当時(1970年代前半)にはガロで多数の漫画も発表していた(しかし、本人はそのことについてあまり語らない)。
1979年「パレットクラブ」発足。メンバーは、ペーター佐藤、原田治、当時「ポパイ」のアートディレクターの新谷雅弘の4人。パレットクラブから派生した東京築地にあるイラストの学校「パレットクラブ・スクール」に於いては、講師にも就いている。
1981年に安西水丸事務所を設立し、本格的にフリーのイラストレーターとなる。その後イラストレーターと平行して日芸の講師を1991年から2003年まで勤める。2005年に東京イラストレーターズ・ソサエティの理事長に就任。
代表作は「メランコリー・ララバイ」、「バードの妹」、「アマリリス」など多数。
村上春樹との親交が非常に深く、共著として「夜のくもざる」「村上朝日堂」「ランゲルハンス島の午後」などがある。また、村上春樹の小説に多数登場する「ワタナベノボル」という名称は安西水丸の本名が元となっていると村上春樹本人がインタビューで語っている。