嘘発見器
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嘘発見器(Lie detection)とは人間の生理現象の変化から被験者が嘘をついているかどうかを判定する装置である。 一般に嘘を見破る装置と言われているが、人間の精神を調査する装置として性的嗜好や精神病の判定にまで広く使用されている。
代表的なものとしてポリグラフを使用した装置が有名である。 嘘発見器に使用されるポリグラフは発明者の名前を取ってキーラー・ポリグラフ(KEELER POLYGRAPH)と呼ばれており、これがポリグラフ=嘘発見器という代名詞化を生み出す原因となった。
血圧や心拍数の変化を読み取る物や、脳波を測定する物など様々な種類がある。 世界中で最も使用されているのはアメリカであり、嘘発見器の使用がピークに達していた1980年代にはアメリカ全土で五千人以上の検査技師がおり、年間二百万人が嘘発見器にかけられてるといわれている。 日本でも約100人の検査技師がいて年間五千人を検査していると言われている。 アメリカでは使用しているのは警察だけでなく核開発施設の職員から民間企業での市場調査からハリウッド映画の観客まで様々な場所で使用され、2008年現在も効果が疑問視されながらも使用され続けている。
嘘発見器は本質的にはプラシーボ効果に頼った尋問道具に過ぎないと言われている。 恐ろしげな装置に容疑者をつないで尋問することによって心理的圧迫感を与えることで自白を促すための装置だというのが実体であり、嘘をついているかどうかを科学的に判別する装置ではない。 科学的根拠と法廷での証拠能力が否定された現代でも使用され続けている背景は、容疑者を威圧する尋問器具としての役目が失われていないからだと言われている。
多くの企業や組織で従業員の不正を暴く装置としてして使用されてきた事実があるが、これは嘘をつけば、不正を行えば必ずばれるということを刷り込むための道具であったとされている。 近年では従業員の士気を下げるデメリットが大きくなり、電子セキュリティ技術の発達、監視カメラやパソコンの監視ソフトなどによる従業員の監視体制が確立したこともあり、嘘発見器を従業員に対して使用することはほとんど無くなった。 これは嘘発見器がセキュリティシステムと監視装置に取って代わられたわけである。
嘘発見器は同性愛者を狩りだすためにも多用された、嘘を識別する装置としてだけでなく、性的嗜好を判定する装置としても活躍したのである。 また、ジョン・ラーソンはローガンズポート病院で精神病院で精神病の診断に嘘発見器を使用した。 この装置は「リアクトグラフ」と呼ばれていた。
レナード・キーラーは嘘発見器によって無実を証明する組織を設立した。 議員から犯罪者まで身の潔白を証明して欲しいと望む人たちがキーラーに嘘発見器で自分の証言を判定してくれるように依頼が殺到した、法廷で証拠能力よりもマスメディアがこの結果を大きく取り上げたことが依頼者が殺到する原因となった。 この組織は後にアメリカポリグラフ協会になった。
[編集] 歴史
- 1921年 ジョン・ラーソンによって発明される。
- 1947年から1953年にかけてテネシー州オークリッジにある核開発施設で一万八千人の職員全員が定期的に嘘発見器にかけられた。レナード・キーラー(Leonard Keeler)が開発した装置が用いられた
- 1951年 Y・イマムラがアメリカ陸軍で研修を受けてが日本で始めて嘘発見器の技術者となる
- 1966年 アメリカポリグラフ協会( American Polygraph Association)が設立
[編集] 裁判
現在のアメリカでは嘘発見器の証拠能力はほとんど信用されておらず、裁判の証拠としては採用されない。 日本でも同様である。
[編集] 参考資料
- 著:Ken Alder
- The Lie Detectors: The History of an American Obsession
- ISBN 978-0743259880
(邦訳:「嘘発見器よ永遠なれ」早川書房)