哺乳形類
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?哺乳形類 | |||||||||||||||
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メガゾストロドンの復元想像図 |
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分類 | |||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||
Mammaliaformes Rowe, 1988 |
哺乳形類(ほにゅうけいるい、ママリアフォルムス、Mammaliaformes)は四肢動物 (Tetrapods) の分類群の一つ。哺乳類及び絶滅した近縁の分類群を含む。古くは暁獣亜綱、暁獣類とも。
目次 |
[編集] 進化
哺乳形類の起源は、三畳紀後期といわれる。2億2500万年前頃の地層から、現在知られうる最古の哺乳形類、アデロバシレウスが発見されている。
その祖先は有羊膜類の二大グループの一方、単弓類のキノドン類である。単弓類は、もう一方の大グループである竜弓類(この中から爬虫類が現れた)とは石炭紀中期に分岐し、独自の進化をして来たグループである。単弓類はペルム紀末の大量絶滅において壊滅的なダメージを受け、キノドン類などごくわずかな系統のみが三畳紀まで生き延びている。
哺乳形類は、低酸素状態が続く三畳紀の気候に適応する形でキノドン類の中から現れた。この一群は、顎関節の改変、四肢の直立化及び呼吸器の改良など、キノドン類で見られた進化をより押し進めた形態が見られる。
かつて哺乳類の定義に使われた顎関節は、高度に進化したキノドン段階においては従来の方形骨ー関節骨に加え、麟状骨(側頭骨)ー歯骨の二重関節となっていた。そして、方形骨と関節骨が顎関節から外れた時点で(広義)哺乳類——哺乳形類とされる。しかし、この時点では関節から外れたというだけであり、未だ顎に付いたままであった。これらが内耳に取り込まれて耳小骨となるのは、(狭義)哺乳類の段階となってからである。つまり、聴覚機能を強化していく過程の中間的な段階にあると言える。
これと同時に大脳皮質の発達が見られている。哺乳形類とキノドン類の幼生の類似(脳函が大きく頭頂の稜が狭い、頬骨弓の位置が低い)などから、ネオテニー(幼生成熟)による進化とする説もある。
この顎関節の改変は、複数の種において平行して起きた進化であると思われる。ジュラ紀の哺乳形類ハドロコディウムは、麟状骨ー歯骨関節を完成させ、発達した大脳皮質を持っていた。しかし、同時期の狭義哺乳類には、未だ麟状骨ー歯骨に加えて方形骨ー関節骨の二重関節という古い形質を引きずるものもいたからである。
この顎関節の改変と聴覚の強化は、四肢の直立化と関連があると思われる。つまり、初期単弓類の段階においては頭蓋と地面が近い距離にあり、角骨の反転板などを通じて振動を拾い上げる事が出来た。しかし、獣弓類、キノドン類へと進化するに連れて四肢の直立化が進み、頭蓋が地面から高く持ち上げられてしまう事になった。その為に聴覚機能を強化する必要に迫られ、哺乳類段階に至る過程で顎関節の蝶番を耳小骨として中耳に取り込む過程にあるといえる。またこれは、優れた聴覚を必要とする夜への進出へと関連があると思われる。
誕生直後の哺乳形類は、三畳紀後期初頭に発生した中規模の大量絶滅を生き延びたものの、恐竜などに主要なニッチを奪われてしまっていた。その為、夜への進出を余儀なくされた訳である。当時の生物にとって、夜という世界への進出は、非常に困難に満ちたものであった。
日光の恩恵を受ける事の出来ない夜間においては、体温の維持は困難である。故に、恒温化は必須であった。その為に、より効率的に獲物を発見する事の出来る聴覚の発達が促された。また、獲物を捕らえる為の四肢も、より活発な行動が出来る形態へと進化した。同時に、キノドン類において発達しつつあった咬頭が複雑化し、より効率的に咀嚼出来る様になった。これは、恒温化が進んだ事で、多くのカロリーを必要とした為と言われる。しかし、夜間に確保出来る食料は限られる為、大半の哺乳形類はげっ歯類と大差ない大きさ、姿であった。
この状況は、白亜紀末(P-T境界)の大量絶滅が発生するまで変わる事は無かった。しかし、哺乳類は地道に進化を重ねており、それが、恐竜絶滅後の爆発的適応放散につながった。その中で、哺乳類に先駆ける形で放散していた哺乳形類たちは、後発の哺乳類との競合に敗れて姿を消していった。
[編集] 系統
従来哺乳類は、化石の特徴を使った顎関節の特徴で定義されてきた。しかし近年、中間的な化石が出現するなどこの定義が適用できないケースが増えたため、現生種を含む最も小さい単系統となるよう、系統学的に厳密に再定義することが多くなった。これにより、単孔類と獣亜綱の共通先祖以前の梁歯目などの原始的なグループが哺乳類から外れることになる。それらを含めた広義の哺乳類は哺乳形類とされた。
獣歯類を含んだより広義の「ママリアモルファ(Mammaliamorpha)」という分類群も提案されている。
以下に系統図を示すが、化石記録の乏しさの為に、正確な系統発生については議論の余地が多い。
- 有羊膜類 (Amniota)
- 竜弓類 (Sauropsida)
- 単弓類 (Synapsida)
- 盤竜類 (Pelycosauria)
- 獣弓類 (Therapsida)
- 異歯類 (Anomodontia)
- 獣歯類 (Theriodontia)
- キノドン類 (Cynodontia)
- チニクォドン上科
- 哺乳形類 (Mammaliaformes)
- チニクォドン上科
- キノドン類 (Cynodontia)
[編集] 下位分類
- 哺乳形類 (Mammaliaformes)
- アデロバシレウス (Adelobasileus)
- シノコノドン類 (Sinoconodontidae)
- モルガヌコドン目 (Morganucodonta)
- 梁歯目 (Docodonta)
- ハドロコディウム (Hadrocodium)
- 哺乳類 (Mammalia)
- 原獣亜綱 (Prototheria / Australosphenida)
- 獣亜綱 (Theria・真獣亜綱)
- 後獣下綱 (Metatheria)
- 真獣下綱 (Eutheria)
[編集] 参考文献
- 遠藤秀紀 『哺乳類の進化』東京大学出版会、2002年 ISBN 9784130661825
- 遠藤秀紀 『人体 失敗の進化史』光文社新書、2006年 ISBN 433403358X
- NHK「恐竜」プロジェクト(高間大介・植田和貴)編・小林快次 監修 『恐竜vsほ乳類 1億5千万年の戦い』ダイヤモンド社、2006年 ISBN 4478860548