吐蕃
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吐蕃(とばん)は中央チベットに成立した統一政権(吐蕃王朝)に対する、中国の文献における呼称である。吐蕃王朝の消滅後も唐代より清代にかけての中国文献において、チベットの全域を著わす地域概念として、もしくはその時々のチベットの支配勢力の代名詞として使用された。
例えば明代に成立した『元史』「宣政院」の条では、「ガリー三域(納里速古魯孫)、ウーツァン(烏思蔵)」と「ド・カム(朶甘)」を合わせた領域が「吐蕃」とよばれている。また清代に成立した『西蔵記』は、ガリーとウー、ツァン、カム地方の西部からなる「西蔵」について、「西吐蕃也」と記している(詳細は西蔵を参照)。