名前探しの放課後
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『名前探しの放課後』(なまえさがしのほうかご)は、辻村深月による日本の小説。講談社ノベルスより刊行されている。
目次 |
[編集] ストーリー
依田いつかは藤見高校に通う高校1年生。ある日、ふと気が付くと、そこはいつかの知る3か月前の世界だった。もとの世界で自殺してしまった生徒を救うべく、いつかは行動を始める……。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 主な登場人物
- 依田いつか(よだ いつか)
- 藤見高校1年生。電車通学で藤見高校に通っている。自分の住む田舎な町にコンプレックスを抱いている様子である。中学時代は水泳部に所属しており、かなり女子にモテる。次から次へと彼女を取り替えていくのを不誠実だと秀人に叱咤されたこともある。あまり深い付き合いの人間は多くなく、秀人が唯一の親友。名前の由来は、「いつか、なりたいものになれるように」。
- 坂崎あすな(さかざき あすな)
- 藤見高校の1年生の中で唯一、いつかと同じ中学出身。かなりの読書家であり、いつかの持ちかけたタイムスリップに関する質問にも流暢に答える。本屋で半日つぶせるという発言もある。『スロウハイツの神様』に登場するチヨダ・コーキの著作も愛読しているようだ。身長は172cmと、いつかよりも高い。名前の由来は「翌檜(あすなろ)」から。唯一の肉親である祖父は、レストラン、「グリル・さか咲」を経営している。
- 長尾秀人(ながお しゅうと)
- いつかの唯一の親友。いつかとは異なり、幅広い人脈を持っている。揉め事をあまり好まないようで、相手が折れないとすぐに臨戦態勢を解いてしまう。椿と長い間交際を続けている。椿に関することは歯が浮くようなことでも平気で語る。陸上部所属。
- 椿(つばき)
- 県内随一のお嬢様学校の、礼華女子高に通っている。茶色いフレームの眼鏡をかけている。秀人とは小学校に入る前からの幼馴染。ピアノや書道のたしなみがある。
- 天木敬(あまき たかし)
- 5組の委員長。勉学で優秀な成績を残しつつサッカー部の活動もしている多才な人物。中学時代には生徒会長を務め、藤見高校でも同じ座を狙っている。かなりの負けず嫌いで、小学校の児童会長選で椿に敗れたことをまだ引きずっているらしい。
- 河野基(こうの はじめ)
- 小瀬友春からいじめを受けている。遺書を書くことと、自分の自殺の記事を書くことが趣味と語る。自殺したのは彼だろうと推測し、あすなたちはそれを未然に防ぐべく、さまざまな対策を講じる。
- 小瀬友春(こせ ともはる)
- 陸上部に所属しており、短距離でかなりの成績を出している。あすなの面前で河野に暴力を振るったり、基自身の証言などから、基をいじめ始めた張本人だろうと特定される。バイク通学をしている模様。小学校時代は「トモ」と呼ばれていた。
[編集] その他の登場人物
- 三山志緒(みやま しお)
- あすなの親友。友春と知り合いで、やや派手な風貌をしている。
- 松永郁也(まつなが いくや)
- 藤見高校ピアノ部の唯一の部員。『凍りのくじら』と『ぼくのメジャースプーン』にも登場。ピアノの腕はプロ級。
- 芦沢理帆子(あしざわ りほこ)
- 多恵と共に「グリル・さか咲」を訪れた女性。『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』にも登場。いつかから「美人」と称されている。
- 多恵(たえ)
- 『凍りのくじら』にも登場。松永郁也の付き人として理帆子と共に現れた。
[編集] 章タイトル
前作にあたる『ぼくのメジャースプーン』の章名しりとりの法則(同項目を参照)を第一章のみ受け継ぎ、本作の第一章は「秘密の花園」と名付けられている。以降、上下巻共に、第十一章の「石のスープ」まで、日本国外の童話のタイトルが章名になっている。