全日本空手道連盟錬武会
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全日本空手道連盟錬武会(ぜんにほんからてどうれんめいれんぶかい 以下、錬武会)は、空手団体の一つ。会長は参議院議員長谷川憲正。
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[編集] 概要
全日本空手道連盟(全空連)の協力団体の一つでありながら、ストロングマンと呼ばれる防具(安全具)を着用しての組手試合を行うことが特徴(但し、所謂「全空連ルール」に則った組手も並行して行っている)。また、アラスカ支部主催の国際大会は素面で行われている。 「技有り」二つで一本勝ちとなるが、防具付き空手界では最もその判定が厳しく、強打しかとらない。 この強打のみがポイントとなる点、頑丈過ぎるストロングマンを使用する点は、「一撃必殺的」、「実戦的である」という好意的な意見と「危険」、「連続技が使えない」という否定的な意見があり、人によって評価が分かれている。
[編集] 歴史
防具付き空手団体は細分化され多数の団体が存在するが、錬武会はかつて全日本空手道連盟を称し、空手界初の全国大会を開催するなど防具付きの道場を統括していた団体だった。しかし、全日本硬式空手道連盟、国際防具付空手道連盟などが次々に独立し、今に至っている。
- 昭和20年 東京九段に錬武会の前進である韓武館道場が設立。
- 昭和29年 東京共立講堂で空手界初の全国大会「全国空手道選手権大会」を開催。
- 昭和34年、防具付きルールによる全日本空手道連盟(旧)が結成される。
- 昭和39年 現在の全日本空手道連盟の成立により、その協力団体として全日本空手道連盟錬武会と名称変更をする。また、全空連との申し合わせにより、各会派の全国大会は中止となる。以後、6年間は海外でアジア大会を実施。
- 昭和46年 全国大会を復活。
- 平成12年 阿部吉文選手が10制覇達成。同年、国体のリハーサル大会として第21回全東北・北海道防具付空手道選手権大会が開催され、硬式空手勢が友好参戦し、錬武会vs硬式空手として話題になる。
- 平成13年 新世紀・みやぎ国体のデモンストレーション競技として防具付空手が実施される
[編集] 組手
錬武会の組手は基本的には伝統派空手に近く、寸止めと両立している選手も多い。しかし、「一撃必殺」的と評される通り、強打のみが「技有り」となる故、間合いが遠く、重心を低く構える選手が多い。
- 一本勝負、時間は正味2分
- 延長戦は「技有り」先取り勝ち
- 正確・有効である突き・打ち・蹴りが定められた部位に決まった場合を「一本」とする。それに準ずる有効技は「技有り」となり、2回合わせて「一本」となる。
- 攻撃は頭部、顔面部、胸部、腹部、上半身両側部に限定され、それ以外のところへの攻撃は禁止されている。
- 攻撃に繋げる目的での足払いは認められているが、ローキックは禁止。
- 防具はストロングマン(面、胴、グローブ)を着用。足や脛のサポーターは認められていない。
[編集] 形
錬武会は指定形として以下のものがある。
- ナイハンチ3段
- 知花クーシャンクー
- 城間チントウ
- 松茂良ローハイ
- クーシャンクー
[編集] 勢力図
組手は団体戦、個人戦において長らく宮城県一強時代が続いている。 特に、個人戦においては阿部吉文選手が10度制覇し、阿部選手が退いた後も佐藤、近藤選手により頂点の座が守られている。 なお、宮城に続く勢力としては埼玉の忍誠館、外薗大志選手率いる神奈川、寸止めの県強化選手が主力の青森がある。
女子も同様に宮城県勢が優勝し続けていたが、最近はカナダ支部のトレーシー・マカレッカ選手が2連覇をし、優勝杯は国外へと渡っている。
形は、過去6度優勝した外薗大志選手や、国体クラスの選手が出場している栃木県勢が毎年優勝候補としてあげられ、関東に有力選手が多い。
[編集] 代表的な選手
- 阿部吉文 第29~33回、35~39回大会の組手の部で優勝し、10制覇。
- 近藤飛鳥 第40、44、45回大会の組手の部で優勝。
- 佐藤光信 第41、42、46回大会の組手の部で優勝。国体防具付き空手の部優勝。
- 外薗大志 第38、39、41~44回大会の形の部で優勝。第43回大会では組手の部も合わせて完全制覇をした。しかし、最近は関東大会でも組手、形ともに優勝を逃している。黒川杯6連覇中。寸止めでも県強化選手であり、国体出場などの実績をもつ。
- 鈴木康史 団体戦で忍誠館の大将。関東大会の組手の部で外薗大志を破り、現在3連覇している。
[編集] 全国大会について
錬武会の全国大会は空手界で初めて行われたものであり、平成19年の大会で46回を数えたが、大会の名称自体は過去に数回変更されている。以下にその変遷、カッコ内に開催場所を記す。
韓武館が主催していた時代。
全日本空手道連盟(旧)が結成され、連盟が主催していた時代。
- 第10回~第29回 全日本防具付空手道選手権大会(東京都体育館、新宿区スポーツセンター、三島市民体育館、駒沢オリンピック体育館)
寸止めの全日本空手道連盟が結成され、6年間全国大会が中止になった後の名称。大会名に「防具付」と明記されるようになる。
第30回以降の名称。「全日本」が「全国」と変更された理由は定かではない。
[編集] その他
錬武会の全国大会は明確な表記はないが実際にはオープン戦であり、有段者であれば所属団体にかかわらず参加が可能である。ただし、防具の貸し出し等は一切無い。また、全国大会は開催時期がよく変動するが、近年は概ね8月~9月の間で行われている。
錬武会は現在のところ世界大会が開催されておらず、世界の各支部はそれぞれの地域ごとに大会を行っている。カナダ支部、インド支部などは全国大会や黒川杯などに出場し、錬武会神奈川との交流が深い。
[編集] 参考資料
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 全日本空手道連盟錬武会
- 錬武会神奈川
- 宮城県防具付き空手道連盟
- 錬武会埼玉 忍誠館本部
- 忍誠館草加道場
- 錬武会愛知 光春館
- 錬武会長野
- 錬武会静岡 尚武館
- 錬武会福島 藤田会
- 闘技空手道拳誠会館
- 錬武会カナダ ※英語
- 錬武会カナダ カルガリー道場 ※英語
- 錬武会アラスカ ※英語
- 黒川杯空手道選手権交流大会