予防接種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
予防接種(よぼうせっしゅ)は、注射または経口的にワクチンを生体に接種して人工的に免疫をつけることにより、伝染病の発生や流行を予防すること。
目次 |
[編集] 予防接種の種類
- 任意接種
- 希望者が各自、医療機関で受ける。接種費用は、全額自己負担となる。予防接種により健康被害が発生した場合は、医薬品副作用被害救済基金法による救済制度がある。インフルエンザ、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、水痘(みずぼうそう)、B型肝炎、肺炎球菌、A型肝炎、狂犬病などがある。
- 定期接種
- 予防接種法に基づいて接種が義務付けられているもの。接種費用は公費負担である。予防接種により健康被害が発生した場合は、予防接種法第11条による救済制度がある。[1] ジフテリア・百日咳・破傷風(3種混合ワクチン,DPT)、麻疹(はしか)、風疹(三日はしか)、日本脳炎、ポリオ(急性灰白髄炎)、結核(BCG)が該当する。その他、65歳以上、または60歳以上65歳未満で心臓や腎臓、又は呼吸器に重い障害のある人、AIDSなどに罹患し免疫力が低下している人の場合、インフルエンザワクチンを定期接種として接種することも可能である。
[編集] ワクチンの種類
- 詳細はワクチンの項目を参照のこと。
- 生ワクチン
- 生きた病原体の毒性を弱めたもの。麻疹、風疹、ポリオ、BCGが該当する。ただし、生の病原体を入れるため、接種した病原体により軽い症状(副反応)が出ることがある。
- 不活化ワクチン
- 死んで毒性を失った病原体の成分のみのもの。百日咳、日本脳炎、インフルエンザなど。ワクチンの効果は弱いため、何度かの接種が必要になることが多い。
- トキソイド
- 菌が発生する毒素を取り出し、それを無毒化したもの。ジフテリア・破傷風が該当する。やはり不活化ワクチンと同じく、ワクチンの効果は弱いため、何度かの接種が必要になることが多い。
[編集] 予防接種の注意事項
予防接種実施規則によると、明らかな発熱を呈している者、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者、当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によるアレルギーまたはアナフィラキシーが検査で明らかになっている者は不適当と判断され接種ができない。また、妊娠している者に関しては、急性灰白髄炎、麻疹及び風疹にかかわる予防接種はできないことになっている。
また、心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患及び発育障害等の基礎疾患を有することが明らかな者、前回の予防接種で2日以内に発熱のみられた者、又は全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者、過去にけいれんの既往がある者、過去に免疫不全の診断がなされている者、接種しようとする接種液の成分に対してアレルギーを呈する恐れのある者等は医師の判断に基づき注意して接種することが義務付けられる。
接種前の問診票では以上の問診が行われる。
[編集] 予防接種間隔
- 不活化ワクチン・トキソイドを接種した場合は、次の予防接種までに7日間開ける必要がある。
- 生ワクチンを接種した場合は、次の予防接種までに28日間開ける必要がある。
[編集] 脚注
- ^ 予防接種事故に対する医療費公費負担制度(東京都福祉保健局)