不顕性感染
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不顕性感染(ふけんせいかんせん、inapparent infection)とは感染が成立していながら臨床的に確認しうる症状を示さない感染様式のことを示す。不顕性感染と顕性感染は連続的であり、病原体により不顕性感染の方が一般的であり、発症に至ることの方が稀であるものも少なくない。不顕性感染を示す個体はは臨床症状を示さないため、感染源として気付かないうちに病原体を他個体に拡げてしまうおそれがある。このような個体をキャリアと呼ぶ。一般に宿主と微生物との関係が長期間におよぶほど病原性は弱くなる傾向がある。これは宿主側の免疫などの防御機能や微生物側の生存戦略が関係している。不顕性感染の臨床上の応用では弱毒生ワクチンがあり、これは人為的に不顕性感染を成立させることにより、免疫を成立させる方法である。
[編集] 関連項目
- 感染
- 不完全発病
- 感染初期に発病してもその症状がすぐ消失する状態。
- 自発性感染
- 通常感染しても病原性を示さない微生物が、個体の抵抗力が低下した場合などに急激に増殖し発病する状態。
- 無症候性キャリア
- ワクチン
[編集] 参考文献
- 鹿江雅光、新城敏晴、高橋英司、田淵清、原澤亮編 『最新家畜微生物学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460198