三千世界の鴉を殺し
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『三千世界の鴉を殺し』(さんぜんせかいのからすをころし)は津守時生の小説およびそれを原作にしたドラマCD作品である。新書館の小説Wingsに連載され、ウイングス文庫より発行。小説は現在12巻まで、CDは5巻(前篇)までが発売されている。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
角川スニーカー文庫の、喪神の碑シリーズ及びカラワンギ・サーガラシリーズの続きにあたり、これに登場するO2(オリビエオスカーシュタイン)の息子であるルシファード・オスカーシュタインが主人公の遠未来SF。挿絵は藍川さとる(後に古張乃莉名義に変更)、TOKAI(雑誌掲載時のみ)と経て、現在は麻々原絵里依が担当している。
[編集] 登場人物
[編集] 主要人物
- ルシファード・オスカーシュタイン(声:諏訪部順一)
- 銀河連邦宇宙軍の大尉(27)であり、カーマイン基地の中隊長の一人。誰もがうっとりしてしまうほどの美貌を持っており、彼の顔を見ると常人は凍り付いてしまう。そのため普段はスクリーングラスで顔を隠している。罵声語のレパートリーが豊富で、顔に似合わずそれを連発してしまう。本人の性格もあいまって、当初彼に敵愾心を抱いている相手にも(男)惚れられてしまう。副官のライラには男たらしとからかわれ、いつも怒っている。念動力と治癒力を持っており、機械に対する感応力も有する。PCリングを両腕に着用している。愛読書はパープルへブン。
- ライラ・キム(声:斎賀みつき)
- ルシファードの士官学校時代からの友人であり、副官。普段は冷静だが沸点は低く、とても好戦的。好みのタイプは自分より能力の高い人だが、彼女自身の能力が高すぎるため該当する男性は少ない。超能力者としてのルシファードの“監視者”でもある。
- サラディン・アラムート(声:三木眞一郎)
- カーマイン基地の軍病院に勤める外科主任。その美貌と過激な言動から、ドクターサイコと呼ばれる。ルシファードに並々ならぬ興味を抱いている。20代にみえるが実年齢227歳。
- カジャ・ニザリ(声:神奈延年)
- 15,6歳の外見を持つ。実年齢は150歳で内科主任。超能力を保持しているが、その能力が低いことにコンプレックスを抱く。外科主任のサラディンとあわせてサイコドクターズと呼ばれている。本人はその名称に不満を抱いているが、二人で病院長に対して行う嫌がらせ等、似つかわしいとも言える。
- オリビエ・オスカーシュタイン(O2:オーツー)
- ルシファードの父親。銀河連邦宇宙軍中央本部情報部部長。90歳を超えてなお、せいぜい30代にしか見えないクールな美貌の持ち主。強大な精神感能力を持つテレパシストである。情報部の部下全てに非常に畏れられ、かつ心酔されている、極めて有能な人物。息子と違ってスタイリッシュで上品な言動を取るが、性格は冷徹で非常に計算高い面がある。しかし息子であるルシファードに言わせれば『実は一途で結構可愛いお茶目な性格』らしい。
- ニコラルーン・マーベリック(声:千葉進歩)
- ルシファードの昔なじみの知己であり、ルシファードの父であるO2の部下でもある、銀河連邦宇宙軍中央本部情報部所属の少佐。実年齢はさておき、20代の青年で十分通る両性的な美貌を持つラフェール人のテレパシスト。身体的には強健とはほど遠いが、情報部所属なだけあって非常に老獪な切れ者であると同時に、少年めいた純粋さをも併せ持つ奥深い性格の持ち主でもある。
[編集] カーマイン基地(仕官)
少尉以上の階級を持つ兵科の仕官について記載する。
- ワルター・シュミット(声:関智一)
- 女たらしの大尉で、現在2度目の離婚紛争中だが、どこか憎めない。幼い頃母親に捨てられた経験を持つ。ルシファードに最初に友好的な立場を示した士官。
- エルトン・グレッグ(声:若本規夫)
- 前髪が薄い、ワルターと同じ大隊に所属する大尉。髪の毛が長いことでルシファードに絡み、決闘騒ぎになる。ルシファードに、パーヘヴの相手役にとリクエストされた。
- アレックス・マオ(声:堀内賢雄)
- ルシファードの直接の上官であり、情報部に二重軍籍を持つ。外見は優男だが、実際は侮れない男である。
[編集] カーマイン基地(その他の兵士)
兵科以外の士官と、下士官について記載する。
- マコト・ミツガシラ(声:野島健児)
- 前の任地でセクハラをされ、相手を半殺しにしたことで左遷された極度のメカフェチ。輸送科所属の少尉。クールな態度で、メカケルベロスと称されるが、ルシファードの前ではかわいらしくなる。ルシファードを「お兄様」と呼び、同じメカフェチの観点から、彼を口説こうとしている。
- メイジャ・アダン
- ルシファードの中隊の小隊長の一人で、曹長。
- グラディウス・ベル
- ルシファードの中隊の兵士の一人で、軍曹。ルシファードに惚れ込み、彼と恋人同士になることを夢見るうら若き乙女。ルシファードもその実力を認める優秀な兵士でもある。
[編集] 用語解説
- カーマイン基地
- 銀河系の辺境基地惑星に存在する基地であり、ここに着任することが左遷を意味する。
- パープルへヴン
- カーマイン基地で発行されるゴシップ雑誌。通称パーへヴ。それに掲載されるものは、基地にいる男性の名前を使った男同士のロマンスのため、モデルとなった男性兵士からの苦情が絶えないが、女性達とルシファードの娯楽の対象でもある。創刊者であるエカテリーナ(PN)はサイコドクターズとも渡り合える女傑だった。その争いの結果、軍病院は禁止区域となっている。
- PCリング
- 超能力者が、それを殺人や犯罪をに使わないように、それを抑止する電流を発する装置であり、外部からの入力にも反応する。普通の人間はそれをつけると昏倒してしまうほどの強力なものである。ただし白氏族はこれをつけなくても良い。
- “監視者”
- PCリング着用者の常にそばにおり、超能力による悪質な犯罪や、リングを外すといった事項が起こった場合、催眠によって対象者を殺すようにされている存在。
[編集] 本作に登場する人種
本作には様々な人類が登場している。以下に、作中に実際に登場している人種について記載する。また各当者の数が少ないものについてはキャラクター名を記載する。
- 地球人
- 短命で特殊な能力は有さないが、それを補って余りある繁殖力を持ち、多種族との混血が可能な存在。銀河系においては連邦に加盟した時期が遅く、それ以前には希少な多種族を全滅させたこともある。現在、最も多く存在する人種。
- 白氏族
- テレパシー能力を有する種族。その能力の大きさにより、寿命の長さ、繁殖力が決まる。また一般的に能力が高いほど若い姿で成長が止まる。
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- カジャ
- 蓬莱人
- 長命で、高度な再生能力などを有する種族。好意を抱くと“媚香”が発生、それは他者の意志を奪い意のままに操り伴侶とする能力であり、そのものを不老不死にする。彼らの血液は完璧ではないが不老不死の力に優れるため、寿命を延ばしたい者達が“狩る者”となり、追われている。絶滅したことになっている。
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- サラディン
- ラフェール人
- 『天使の末裔』とも呼ばれる種族。男女共に性別を超越したたおやかな美貌の持ち主で、性格は一般的に争いを好まず温和で友好的。エンパシーと呼ばれるごく微弱な精神感能力を持ち、他人の感情を察することができる。この能力と生来の性質の両者を巧みに利用し異なる思想や利益をすりあわせる調整能力に優れるため『生まれながらの外交官』とも称される。また、芸術方面へも優れた人材を輩出する。
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- ニコラルーン
- 六芒人
- ヘクサノーツとも呼ばれる。男女共に体格が良く、運動能力と体力に優れる。性格的にも血の気の多い者が多く、『生来の戦士』とも称される。ブロンド系の髪と赤い瞳、赤銅色の肌が特徴で、この外見は優勢遺伝のため混血であっても一目で六芒人の血を引くことがわかる者が多い。
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- グラディウス
[編集] ドラマCD
- 三千世界の鴉を殺し
- 現在は5巻後篇まで全6巻が発売中。
- 初回限定生産特典として、書き下ろしのプチ文庫が付いている。内容は本編終了後が舞台で、1巻ごとに1月経過する。CD第1巻から5月の内容が始まる。5巻後篇分はキャストによる座談会CDと年末が舞台の小説が書かれたブックレットが封入されている。
- 小説wings付録
- 2007年と2008年の2月発売の冬号に付録で収録された。
以上で物語・作品に関する核心部分の記述は終わりです。