一碧湖
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一碧湖(いっぺきこ)は、伊豆半島東側の中ほど、静岡県伊東市吉田にある湖。南東から北西に伸びたひょうたん型をしており、最長部の長さはおよそ800メートル、周囲はおよそ4キロメートル。湖面の標高はおよそ192メートル、水深は正確には測定されていないが最も深い部分でもおよそ7~8メートルと浅い。
[編集] 概要
北西側は大池(おおいけ)と呼ばれ、小さな島を2つ持つ湖である。一方、市道の橋を挟んで南東側は沼池(ぬまいけ)と呼ばれ、全域が沼地または湿地帯となっており、葦などの植物が繁茂する。沼池は水位が低いときには大部分が干上がることもある。
かつては堰止湖と考えられていたが、火山の火口のごく近辺でしか観られない、火山弾を多く含む堆積物が分布しており、現在ではおよそ10万年前に起きた激しい水蒸気爆発によってできた火口湖(マール)であると考えられている。およそ5000年から4000年前には南南西におよそ4キロメートル離れた大室山が噴火し、流出した溶岩の一部が湖の西側の一部にかかって、ほぼ現在の形ができ上がった。
「伊豆の瞳」とも称される観光地であり、日本百景に選定されている。古くは昭和初期に与謝野鉄幹・晶子夫妻が当地を訪れて数多くの短歌を残した。現在ではその歌碑が湖畔に建つと共に、ヘラブナ釣りのメッカとして、またボート遊びやバードウォッチング、更には春の山桜や秋の紅葉の名所として知られる。