一事不再理
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一事不再理(いちじふさいり)とは、ある事件について、確定した判決がある場合には、その事件について再度、実体審理をすることは許さないとする刑事訴訟法上の原則。この原則に反して公訴の提起がなされた場合には、免訴の判決が言い渡される。二重危険禁止とも呼ばれる。
[編集] 日本
日本国憲法では第39条に明文化されている。この原則を根拠として、無罪判決に対する検察官の上訴を禁止するべきだという意見があるが、最高裁判所は一審も控訴審も上告審も継続する一つの危険だとして合憲と判断している。
もっとも、日本の国内法においては、他国の裁判所で無罪が確定している事件を日本で訴追することは一事不再理の範囲に及ばず、あくまで日本の裁判所において無罪が確定していることが必要である。日本の裁判所で無罪が確定している事件を他国で訴追することについても、当該国が同様の立場を取っていれば、同様である。
但し多国間でこの原則を全て適用すべきかということに関しては様々な議論がある。たとえば他国による日本人拉致事件が起こり、当事国で犯人に免責が与えられた場合、日本政府はそれをそのまま承諾すべきかといった問題があるからである。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 高野隆 「二重の危険」『刑事裁判を考える:高野隆@ブログ』2007年05月14日。