ロリカ・セグメンタタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロリカ・セグメンタタ(羅:Lorica segmentata)とは古代ローマの軍団兵に支給された鎧。主に帝政ローマのティベリウスの治世から使われ始めた。曲げた鉄の板金重ねて作られた甲冑で映画などでいわゆる「ローマ軍団兵の鎧」としてのイメージが定着しているが、実際に使われたのは1世紀から2世紀までの間と長いローマの歴史の中では比較的短い期間であった。
なお、このラテン語名が定義として用いられたのは16世紀のヨーロッパからであり、必ずしも古代ローマ時代に『ロリカ・セグメンタタ』の名で呼ばれていたわけではない。
[編集] 構成
ロリカは細長く切られた鉄製の板金を重ねて構成されており、胸部、腹部、肩を防護する。ひとつひとつの板金は胴体、肩、上腕に沿った形で湾曲しており、上から下へと覆いかぶさるような形で人間が立った姿に対して水平に重ねられている。
また保護する箇所が大きい胴周りには左右別々の板金を合わせて構成された。そして肩を保護する板金のパーツは、同じく上から下へと覆いかぶさるような形で胴まわりの甲冑部分の上から覆いかぶせられた。板金は真鍮製の止め具を介して革製のひもを結んで固定された。
鉄の板金でできているという事から打撃、突刺の防御にも有効で板金が細かく分かれている事により体の動きに合わせた柔軟性があり、甲冑としての機能は非常に高かった。また使用しない際に小さく収納ができるという利点もあった。反面頻繁なメンテナンスが必要で、これを怠ると、異種の金属同士の接触部分からすぐに錆び付いてしまうという欠点があった。しかも着脱には二人掛かりで、針金や留め具などで手間が掛かる為、即応性にも欠けていた。
しかも、柔軟性があるものの、板金製ゆえか胸元が窮屈になり息苦しい、という報告が再現実験から出ている。
地方では、簡略型セグメンタタの開発も行われていたらしいが、欠点の克服には至らなかったようである。