マグナム (バンド)
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マグナム(Magnum)とはイングランド、バーミンガム出身のハードロック・バンドである。
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[編集] 歴史
1972年結成。1976年まではカヴァー曲中心のバンドとして活動を続ける。1976年、中心メンバーであったヴォーカルのボブ・カトレイとギタリストのトニー・クラーキンにドラマーのケックス・ゴリンとベーシストのデイヴ・モーガンが合流。独自の音楽性の開拓を開始する。なおデイヴ・モーガンは後のエレクトリック・ライト・オーケストラのメンバーである。さらにベースがデイヴ・モーガンからウォリー・ロウに交替、キーボーディストのリチャード・ベイリーが加入し、バンドの基本的な骨格が完成する。
1978年、ジェット・レコードからアルバム「Kingdom of Madness」を発表。全英チャート58位まで上昇する。タイトル・チューンはバンドの代表曲として後々までコンサートのハイライトの一つとなったハードでアップテンポなナンバーであった。
1979年、2枚目のアルバム「Magnum2」を発売。このアルバムはチャートインに失敗したが、続いて出したライブ・アルバム「Marauder」が全英チャート34位まで上昇。さらにライブ・シングル「Magnum Live」もシングル・チャート48位となり、バンドは命脈を保つ。この頃、キーボーディストがマーク・スタンウェイに交替。
1982年、ジェフ・グリックスマンをプロデューサーに迎えて制作したアルバム「Chase the dragon」が全英チャート17位まで上昇。ハードロックバンドとしての地位を固める。このアルバムからは「Soldier of the line」「Sacred Hour」「The Spirit」がコンサートの定番曲となった。またアルバムのアートワークをロドニー・マシューズが手がけたことも特筆される。この時期、バンドはオジー・オズボーンのサポート・アクトとしてアメリカ・ツアーに同行している。
1983年、セルフ・プロデュースのアルバム「Eleventh Hour」発表。このアルバムは全英チャート38位となるもバンドはジェット・レコードを離れる。この後バンドはしばらく活動を停止。マーク・スタンウェイはフィル・リノットのバンドに参加。またドラマーがジム・シンプソンに交替。
1985年、バンドはFMレコードに移籍してアルバム「On A storyteller's night」を発表。ドラマーがミッキー・ベイカーに交替。これで黄金期のメンバーが揃ったことになる。ドラマティックな名曲が並ぶアルバムは全英チャート24位を獲得。ヨーロッパにおいても順調なセールスを記録。「On a storyteller's night」「Just like an arrow」「Les morts dancantz」などがコンサートのハイライト曲となる。このアルバムの成功によってバンドはポリドールとの契約を獲得した。また、この年ドニントン・パークで開催されたモンスターズ・オブ・ロック・フェスティバルのオープニング・アクトにも選ばれている(他に参加したバンドはボン・ジョヴィ、メタリカ、マリリオン、ZZトップ)。
1986年、クイーンのロジャー・テイラーを共同プロデューサーに迎えてアルバム「Vigilante」を制作。「Vigilante」「Need a lot of love」「When the world comes down」などがコンサートの定番曲となる。
1988年、アルバム「Wings of Heaven」発売。全英チャート5位獲得。バンドはアリーナ・ツアーを行えるまでになる。
1990年、キース・オルセンをプロデューサーに迎えたアルバム「Goodnight L.A.」発表。全英チャート9位獲得。
1991年、名作と名高いライブ・アルバム「The Spirit」発表。しかしバンドはこのアルバムを最後にポリドールを離れて迷走を始める。
1992年にはミュージック・フォー・ネーションズ・レーベルからアルバム「Sleepwalking」を発表。
1994年にはアコースティック・アルバム「Keeping The Nite Light Burning」と通常のアルバム「Rock Art」を発表。しかしバンドは解散を表明し、解散記念ツアーに出る。
1995年、解散記念ツアーを収録したライブ・アルバム「Stronghold」発表。バンドは解散。
[編集] 解散後
ボブ・カトレイとトニー・クラーキンはバンド「Hard Rain」を結成して活動するも、時代はオルタナティブ・ロック一色というハードロック暗黒時代にさしかかっており、バンドはなかなか軌道に乗らなかった。そうこうするうちにボブ・カトレイのソロ活動に勢いが付き始めてバンドは解散。ボブ・カトレイはソロのヴォーカリストとして成功を収める。
[編集] 再結成
2002年、ボブ・カトレイとトニー・クラーキンはバンドを再結成。マーク・スタンウェイを呼び戻し、「マグナム」としての活動を再開している。
[編集] 音楽性
ボブ・カトレイの圧倒的な表現力を持つヴォーカルを中心にした、オーソドックスなブリティッシュ・スタイルのハードロックである。初期にはプログレッシブ・ロックの影響も受けた音造りであったが、アルバム「On a storyteller's night」以降は4分から5分というコンパクトなフォーマットにドラマティックな起承転結と流麗なメロディを封入するスタイルに移行。ギターやキーボードは決して前に出すぎることが無いが、基礎的な技術(サウンド構築のセンスやリズムのキープ能力・ドライブ能力)は非常に高く、ボブ・カトレイの歌を盤石の演奏で支える。ボブ・カトレイの歌は古典的なハードロックに多い、いわゆるハイトーン・ヴォイスではなく、ややハスキーがかった艶のある中域に特徴を持つものである。音程、声量、リズム、音色のコントロール技術は完璧そのもので、この高い実力が彼をソロのヴォーカリストとしても成功させる原動力となった。
[編集] ディスコグラフィ
[編集] マグナム スタジオ・アルバム1 (結成-1995解散)
- キングダム・オブ・マッドネス(狂気同盟) Kingdom Of Madness (1978)
- マグナム II Magnum II (1979)
- チェイス・ザ・ドラゴン Chase The Dragon (1982)
- ジ・イレヴンス・アワー The Eleventh Hour (1983)
- オン・ア・ストーリーテラーズ・ナイト On a Storyteller's Night (1985)
- ヴィジランテ Vigilante (1986)
- ウイングス・オブ・ヘヴン Wings Of Heaven (1988)
- Goodnight L.A. (1990)
- Sleepwalking (1992)
- Rock Art (1994)
[編集] ハード・レイン スタジオ・アルバム (1997-1999)
- ハード・レイン Hard Rain (再発売後: Perpetual Commotion) (1997)
- When The Good Times Come (1999)
[編集] マグナム スタジオ・アルバム2 (2002再結成-現在)
- ブレス・オブ・ライフ Breath Of Life (2002)
- ブランド・ニュー・モーニング Brand New Morning (2004)
- プリンセス・アリス・アンド・ザ・ブロークン・アロウ Princess Alice And The Broken Arrow (2007)
[編集] ライヴ・アルバム
- マローダー Marauder (1980)
- The Spirit (1991)
- ライヴ・イン・ロンドン (1994) ※録音は1985年
- ザ・ラスト・ダンス The Last Dance (1996) ※1995年12月31日の解散ライヴを収録
- ストロングホールド~ライブ~ Stronghold (1997) ※「The Last Dance」に数曲追加したもの
[編集] 企画アルバム
- Keeping the Nite Lite Burning (1995) ※アコースティック・スタジオ録音
[編集] コンピレイション・アルバム
- Chapter & Verse: The Very Best of MAGNUM (1993) ※Polydor時代のベスト
- Archive (1993) ※未発表スタジオ録音集。「Magnum Archives」とは別作品。