ベビーパウダー
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ベビーパウダーは、主としてあせもやただれ防止に皮膚に塗布する粉末。乳幼児に用いることが多いためこの名がある。
軽度のあせも、かぶれ、ただれ、股ずれ、剃刀負けなどの患部にも効果がある。
[編集] 概要
主たる原料は、滑石(タルク)などの鉱物と、コーンスターチなど植物のデンプンである。日本古来の天花粉(てんかふん)も、同じ目的のものであり、これはキカラスウリのデンプンを用いる。
作用としては微細な粒子による毛細管現象で水分を吸い上げ、澱粉によって湿度を適度に保ち、滑石によって皮膚表面を滑らかにする。決して乾燥させるわけではなく、皮膚同士の摩擦を少なくすることによって、あせもをできにくくする。
パウダー商品の種類にはパフの付いている物とそうでない物があり、缶に入っているタイプと、小さく持ち運びに適したシェーカータイプなどが存在する。
1987年7月、ベビーパウダーの原料である滑石に不純物としてアスベストが混入していたという事件があり、労働省産業医学総合研究所(当時)の調査によって、11社19製品のうち5社5製品に関してアスベストの混入が認められた。現在においては、厚生労働省の定めた不純物混入試験を経た滑石以外は原料として使用することが許されていない。
[編集] 使用方法
乳幼児は、時に衣服(特にオムツ)によるあせもやただれ等の肌の異常を起こしやすい部位腋の下や臀部周辺に、手やパフなどで直接薄く、撫でるように、もしくは軽く押さえるようにして塗る。厚く塗ると水分を吸い上げる道が塞がれ、ダマになり逆効果となるおそれがある。
乳幼児以上の児童や成人の肌への使用も支障はなく、汗ばむことの多い体質や季節には効果的である。力士がよく使用している。近年では収れん剤や保湿成分などの薬用成分が添加された商品も市場に多く出回っている。