フッ素樹脂
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フッ素樹脂(フッそじゅし、fluorocarbon polymers)とは、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂の総称である。耐熱性耐薬品性の高さや摩擦係数の小さいことが特徴である。デュポン社の商標「テフロン®」[1]が有名でフッ素樹脂の代名詞となっている。中でも最も大量に生産されているフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン〈四フッ化樹脂〉である。
また、フッ素ゴムは部分フッ素樹脂あるいはフッ素樹脂の共重合体をフォームに加工したものである。
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[編集] 特徴
化学薬品に対する耐久力や電気絶縁性が高く、表面の摩擦係数は既知物質では最も低く高温にも安定で不燃性の為、エンジニアリングプラスチックとして利用されている。デュポン社のポリテトラフルオロエチレンはフロンを研究していたロイ・プランケット博士によって1938年にフロンの偶発的な重合反応により発明された。
ポリテトラフルオロエチレンはアメリカ合衆国で第二次世界大戦中マンハッタン計画のウラン235濃縮工程でフッ素やフッ化水素酸に耐えうるライニング素材として開発され、戦後工業化された。フライパンやアイロンの焦げ付き防止用や離型剤として日用品にも利用される。
最初に開発されたポリテトラフルオロエチレンは、260 °C の耐熱性を持つが熱可塑性を示さず加工性が悪い素材である。加圧成形焼成法,押出し成形法によって成形する。
成形を高めるために、完全にフッ素化されているポリテトラフルオロエチレンのフッ素基の一部を水素または塩素で置換したり、オレフィンとしたさまざまなクロロトリフルオロエチレン樹脂やフッ化ビニリデン樹脂が開発された。これらの樹脂は耐熱性でポリテトラフルオロエチレンに劣るものの加工性は高く、圧縮、押出し、射出成形が可能な素材である。
金属部品に粉体静電コーティングしたり、エポキシ樹脂とともにシート状に加工されて、金属製あるいは非金属性コンテナの内張りとして取り付けられる場合もある。
[編集] 分類
- 完全フッ素化樹脂
- ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、略号:PTFE)
- 部分フッ素化樹脂
- ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、略号:PCTFE、Kel-F, CTFE)
- ポリフッ化ビニリデン(略号:PVDF)
- ポリフッ化ビニル(略号:PVF)
- フッ素化樹脂共重合体
- ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(略号:PFA)
- 四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(略号:FEP)
- エチレン・四フッ化エチレン共重合体(略号:ETFE)
- エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(略号:ECTFE)
[編集] 商標
- テフロン®(Teflon®) — デュポン社のフッ素樹脂類(PTFE, PFA, FEP)の商標
- テフゼル®(Tefzel®) — デュポン社のETFEの商標
- カルレッツ®(Kalrez®) — デュポン社のFFKMの商標
- ヴァイトン®(Viton®) — デュポン社のフッ素ゴム類(FPM/FKM)の商標
- フルロン®(Fluron®) — 旭硝子社のETFEの商標
- テドラー®(Tedlar®) — デュポン社のPVFの商標
- ハラー®(Halar®) — Solvay Solexis社のECTFEの商標
- カイナー®(Kynar®) — Arkema, Inc.社のPVDFの商標
- テクノフロン®(Tecnoflon®) — Solvay Solexis社のFFKMの商標
[編集] 参照文献
- 長倉三郎、他(編)、「フッ素樹脂」、『岩波理化学辞典』、第5版 CD-ROM版、岩波書店、1998年。
- 森川 正信、「フッ素樹脂」、『世界大百科事典』、CD-ROM版、平凡社、1998年。
[編集] 註・参照文献
- ^ テフロンは単一物質に対してではなく同社が販売するさまざまなフッ素樹脂に使用される商標である。
[編集] 外部リンク
- Chemical Resistance of Fluoropolymersフッ素樹脂の耐薬品性〈英語〉