フォード・クラウンビクトリア
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クラウンビクトリアはフォード・モーターが製造するフルサイズセダンである。
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[編集] 概要
1955年に登場して、数回のモデルチェンジを経て現在でも販売されている。駆動方式はFR。一般向けに市販されているものの、その多くはパトカーやタクシーとして使用される。また、パトカー用はエンジン出力を強化するなどしたPolice Interceptor(ポリスパッケージ)という専用グレードが存在する。
現在発売されているタイプは4.6L SOHC V8 でトランスミッションは4速のオートマチックのみである。値段はアメリカ国内で約$20,000からである。
2007年初秋発表の2008年モデルではカタログから落とされており。生産中止が決定された。同じコンポーネンツを流用するリンカーン・タウンカーやマーキュリー・グランドマーキスに関しては、2008年モデルのカタログが用意されているものの、在庫処分目的の販売となり、在庫がなくなり次第販売終了予定。
後継モデルはいまのところ明らかではないが、2007年の北米自動車ショーで発表されたリンカーン・MKRや、フォード・インターセプターが後継車種になると推測できる。
プラットフォームはフォード・パンサー・プラットフォーム (Ford Panther platform) を使用している。
[編集] その他
[編集] パトカー
グレード名はポリスインターセプター(Police Interceptor)。商品コード「P71」。P71はアメリカのパトカー市場において、およそ7割強の市場占有率を持つと言われている。アメリカの警察で好まれる後輪駆動のフルサイズセダンをベースにした車両として、今では貴重な存在となっているのが要因。
基本的に単独グレードだが、最終減速比が3.27と3.55の二種類の設定がある。ベース車両からの変更点は補機類やサスペンションの信頼性向上といったもの。また注文装備として防弾パネルを取り付けることができる。これは12ゲージ散弾や7.62mm NATO弾を止める。価格は運転席側のみが$1200、前席左右ドアが$2400。後述する欠陥問題があったことから、これへの対策として燃料タンクを保護する防護材の取り付けを無料オプションとして設定した。また燃料タンク付近に自動消火装置をメーカーオプションとして設定。これは後部に強い衝撃をセンサーが感知すると、組み込まれた油火災対応型消火器が燃料タンク付近へ向けて噴射されるというもの。手動でも作動操作をすることが可能となっている。
アメリカのパトカーは耐用期限が過ぎると日本のように解体にはならず、民間に払い下げられる。そのためパトカー上がりのタクシーや自家用車が多数存在する。もちろん中古のポリスパッケージは個人でも買うことができる。警告灯を外し、ポリスデカールを剥し、塗り直されるのだが、日本でまたパトカー仕様に戻し(またはアメリカ国内には持ち込まない事を誓約した上でそのまま購入し)乗るファンもいる。
[編集] タクシー
かつてはGMにも同様のフルサイズセダン、シボレーのカプリスやカプリスの兄弟車インパラがあったが、生産中止となった(インパラは2000年から再び生産開始)ため、現在アメリカのタクシー業界はクラウンビクトリアが主力車種である。中古パトカーを使ったものが多い。なお、フルサイズセダンは他にも各社で多数生産されていた(ダッジ・モナコなど)。 また、映画「TAXI NY」でも使われていた。
[編集] 姉妹車
姉妹車はマーキュリー・グランドマーキー (Grand Marquis)と、リンカーン・タウンカー で、グランドマーキーおよびタウンカーはクインランド・カーズが日本に正規輸入している。
[編集] 訴訟
パトカーにも使用されているこの自動車は、カーチェイスや超長高速運転などのとき、燃料タンクからの発火の恐れがあるとして、アメリカの地方警察がフォードに対し訴訟を起こした。
[編集] 関連項目
- フォード・モーター
- マーキュリー・グランドマーキー
- リンカーン・タウンカー