フォルスタッフ
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サー・ジョン・フォルスタッフ(Sir John Falstaff)はウィリアム・シェイクスピアの作品に登場する架空の人物。
大兵肥満の老騎士。臆病者で「戦場にはビリっかす」、大酒飲みで強欲、狡猾で好色だが、限りないウィット(機知)に恵まれ、時として深遠な警句を吐く憎めない人物として描かれ、上演当時から現代に至るまでファンが多い。
フォルスタッフ「名誉だと? そんなもので腹がふくれるか?」
シェイクスピアの生み出した数多くの劇中人物の中でも、「劇を飛び出して生きた」息子は二人だけだと言われている(フォルスタッフとシャイロック)。
『ヘンリー四世』(2部作)ではハル王子(後のヘンリー5世)の放蕩仲間として登場するが、第2部の最後に即位してヘンリー5世となった王子に追放されてしまう。続編の『ヘンリー五世』では、追放後まもなく失意の中で、(フランスで汗かき病のため)死んだ事が仲間(ピストール、バードルフ)の口から語られるという形で紹介される。
ピストール「地獄ででもいいから、ヤツと一緒にいたいよ・・・」
もっとも、このようなフォルスタッフの「殺害」については、当時から人気の高かったフォルスタッフを勝手に登場させた戯曲などがまかり通っており、シェイクスピアはそのような事態を防ぐために、自らの「息子」を死んだことにして守らなければならなかったといわれている。
イングランド女王エリザベス1世がフォルスタッフをたいそう気に入り「彼の恋物語が見たい」と所望したため、シェイクスピアはフォルスタッフを主人公とした『ウィンザーの陽気な女房たち』を書いたと言われる。同作では勝手な思い込みから2人の夫人に恋を仕掛ける愉快な好色漢として描かれている。
ヘンリー5世の盟友であったコバム卿ジョン・オールドカースル(Sir John Oldcastle)がモデルとされており、初演時には同名のジョン・オールドカースルであったが、実在のオールドカースルの遺族から抗議を受けたため、やはり実在の人物で『ヘンリー六世』(第1部)にも登場するジョン・ファストルフ(Sir John Fastolf)の姓を綴り変え、フォルスタッフという架空の姓にした。