ビーチ17スタッガーウィング
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ビーチ17スタッガーウィングは、アメリカ合衆国の民間機で、ビーチクラフトの製作した最初の機体である。複葉機で、2枚の主翼のうち上翼が下翼より後ろにある負のくいちがいを持つことを特徴としている。1932年11月に初飛行した。引き込み脚をもち、420馬力のエンジンの17Rは326km/hの最高速度を記録し、当時の戦闘機なみの性能を示した。実際に売れたのは225馬力のエンジンで240km/hを出したB型であり、フラップをつけたC型、胴体を延長したD型、戦後のG型まで生産された。
複葉機の形状で上翼と下翼の前後位置をずらすとすれば(スタッガーとよぶ)、上翼を前に出すのが普通で、翼の上下を比較すると、上側を通る気流の乱れのほうが大きいので、下翼によって乱された気流の中に上翼を置かないほうがいいからである。特に着陸時の迎え角が大きい時など、負のくいちがいをつけた機体は不安定になることが予測され、ビーチ17も初期の機体は離着陸は難しかったという。そのかわりに得られたものは操縦席からの上方の視界である。
クライド・セスナらとトラベルエアをつくった、ウオルター・ビーチがトラベル・エアをやめて1932年4月に自分の会社を作って、製作した機体である。トラベル・エアでの最終作が16型なので、第1作を17と命名した。複葉機で木金混合構造であるが、空気抵抗の少ない設計が高性能を生んだ。
[編集] 要目(ビーチC17R)
- 全長:7.4m
- 全巾:9.8m
- 全高:2.5m
- 翼面積:24.8m2
- エンジン:ライトホワールウィンドR975
- 出力:450Hp
- 最高速度:325km/h
- 航続距離:1130km