ビルバイン
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ビルバインは、アニメ『聖戦士ダンバイン』に登場する架空の兵器、オーラバトラーの一種。
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[編集] 機体解説
ダンバインを参考にナの国が開発した新型の可変式オーラバトラーで、人型から、鳥を髣髴とさせるシルエットのウイングキャリバーに変形することで戦地まで高速で移動できる(実際にウイングキャリバーとして、上部にオーラバトラーを搭載するのも可能)。機動力と強力なパワーを兼ね備える最強のオーラバトラーだが、オーラ係数が1以下である事から、おそらくオーラ増幅器は未搭載だと思われる。そのため、その性能をフルに発揮するには、操縦者が強力なオーラ力の持ち主であることが要求される。
番組後半の主役機で、ショウ・ザマがナの国の女王シーラ・ラパーナより賜り、ダンバインから乗り換え愛機とした。当初は赤 / 白の機体色(第29話~第46話)をしているが、最終決戦直前(第47話~最終話)に海上戦ということもあり敵の目を眩ます目的で青系統のロービジビリティ色(迷彩色あるいは夜間迷彩色)に塗り替えられた。武装としてオーラソード一本。背中に大型の連装オーラキャノン。腕部に連装の射出式ワイヤークロー。
携帯火器として新兵器オーラ・ソード・ライフル(オーラランチャーとエネルギー刃を形成する銃剣を組み合わせた複合武器)を装備している。他作品でオーラ・ソード・ライフルと似た設計思想の武装としては、同じく富野原作の『機動戦士クロスボーン・ガンダム』でクロスボーンガンダムが携帯する「ザンバスター」が存在する。
『電撃ホビーマガジン』掲載の「オーラバトラー構造学」によれば、脚部補助固形ロケットに関しては、『聖戦士ダンバイン』と同じくバイストンウェルを舞台にした小説『リーンの翼』の主人公である迫水真次郎が大日本帝国軍の特攻隊員として搭乗した桜花のロケットを参考にしているという。この部位は地上に出てから地上製の部品に置き換わったパーツも多いらしい。
最終回では黒騎士のガラバと一騎討ちになり、右腕と左足を失った後ゼロ距離射撃をもろに受けて上半身そのものが消失する。その後、シーラが浄化を行った際、爆発。
『聖戦士ダンバイン 聖戦士伝説』のロウルートでは、赤 / 白の機体と青系統のロービジビリティ色の機体の二体が同時に存在する。
[編集] その他
デザインは諸般の事情により、同作品のキャラクターデザイン兼チーフアニメーターである湖川友謙が担当、初回案はダンバインの流れを汲みつつガウォーク形態に変形するデザインであったが、スポンサーの意向により却下された。玩具展開を最重点とするスポンサーの意向を反映した最終デザイン及び変形ギミックは、それまで宮武一貴、出渕裕が構築してきたオーラマシンのデザインとは異なる玩具然としたテイストであり、カラーリングも正義のヒーローメカという印象を全面に押し出した派手なものであるため、良くも悪くも特別な存在となっている。なお、初回デザインのビルバインはエンタテインメント書籍編集部(ソフトバンククリエイティブ)の書籍「聖戦士ダンバインノスタルジア」の表紙で確認できる。
名前の由来は、物語後半のストーリーをビルドする(=BUILD、英語で構築するの意味)ダンバインと言う意味がこめられいる。番組タイトルとなっているマシンを中盤で別のものに交代させるという試みは、富野監督の前作『戦闘メカ ザブングル』で既に行われていたが、本作のビルバインについては「新しいプラモデル販売の為、スポンサーの意向で無理矢理作らされた」と語っていた。曰く「せめて最初からいってくれればもっといいビルバインを用意できた」とのこと。のちに出渕裕は『オーラファンタズム』にてこれをリファインした「ヴェルビン」なるデザインを発表している。こちらは非変形タイプのオーラバトラーで、ビルバインにあった機械的な意匠が抑えられているのが特徴であった。もっとも、それ以前に出渕はビルバインをマッシブにマイナーチェンジした画稿を富野に提示しており、これならば世界観を崩すことなく登場させられると目論んだが、果たせなかった過程も経ている。
ビルバインが登場する第29話以降のオープニングは、ダンバインも登場するものの、ビルバインを主にしたものに変更されている。