ビスク・ドール
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ビスク・ドール(英語:bisque doll、仏語:poupee en biscuit)は、19世紀にヨーロッパのブルジョア階級の貴婦人・令嬢たちの間で流行した人形である。アンティーク・ドールとも呼ばれる。
ビスク・ドールの「ビスク」とはフランス語の「二度焼き」が語源であり、人形の頭部、場合によって手や全身の材質が二度焼きされた素焼きの磁器製であったことに端を発している。当初は陶土を型に押し込んで作られたが、後に量産可能な液状ポーセリンの流し込みで作られるようになった。
元来、衣服の宣伝用に、ミニチュア版の衣装を着させる目的で作られた観賞用の人形(ファッションドール)だったが、後に人形職人の試行錯誤の末、可動性の高いコンポジションボディが作られ、玩具として量産された。
19世紀末、ジュモー、ブリュなどフランスのビスクドール工房は黄金時代を迎えた。20世紀に入ると、廉価なドイツのビスクドールに対抗するため、フランスの工房は合併。廉価ビスクドールの量産合戦となり、1920年代には一般の子供用玩具として広く販売されるようになった。
しかし、やがてコンポジションドールを経て、ゴムやセルロイド製のより廉価な人形が量産され、1930年頃には製造されなくなってしまった。現在でもビスク・ドールの人気は根強く、ドイツ産の人形は数十ドル程度から手に入るが、骨董的価値及び美術性・希少性に応じて、ブリュやジュモートリステ(ロングフェイスジュモー)などは、数万ドルで取引されている。
アンティーク・ドールおよび、復刻品のレプリカもビスク・ドールと呼ばれる。アンティーク・ドールの呼称は、アメリカで関税法が変更された1930年以前の製造物に対してのみ使う事が許されている。
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[編集] 代表的な作家・工房
- フランス
- ジュモー
- ブリュ
- ゴーチェ
- AT(アー・テー)
- スタイナー
- S.F.B.J(1899-1960年代 ジュモー等フランスの工房の合同会社)
- ドイツ
- アーモンド・マルセル
- ケストナー
- シモン&ハルビック
- 日本
- モリムラ
[編集] 主要な用語
- ヘッド
- ショルダーヘッド:初期のファッションドールに多い。胸像のように頭部と胸部が一体化したもの。後に頭部と胸部がジョイントし、頭部が可動となる。
- ターンヘッド:初期のファッションドールに見られる、首が少し右を向いたポーズで固定されたショルダーヘッド。
- ドームヘッド:通常は目を入れるために頭頂部が開いているが、赤子人形など坊主頭のもの。
- クローズマウス:口を閉じたもの。通常オープンマウスより高額になる。
- オープンマウス:口を開いたもの。歯をつけられたり、頭の中が見えないよう赤い紙を貼られる場合もある。
- オープンクローズマウス:口を開いた表情だが口の穴は開いていないもの。
- スウィブルネック:可動の首。
- フランジネック:壷のように開いた首でクロスボディにとめつける。赤子人形に多い。
- アイ
- セットアイ:初期、あるいはフランス人形に見られる。目を石膏で固定したもの。
- スリープアイ:両目に錘をつけ可動するようにしたもの。ドイツ人形、後期の人形に見られる。
- ブロウアイ:ドイツ人形、後期の人形に多く見られる。吹きガラスで作られた単純な目。
- ペーパーウェイトアイ:フランス人形、初期の人形に多く見られる。義眼の手法で作られ、張り出しが大きく、虹彩に複雑な模様が入っている。現代の技術では再現できない。
- ボディ
- キッドボディ:初期のファッションドール、ブリュなど。ショルダーヘッドにヤギ皮で作ったボディをつけたもの。可動性がほとんど無く、立たせて鑑賞する。初期には手までキッドで作られたが、後にひじから下がビスクのものが作られた。中でもブリュハンドは有名。
- コンポジションボディ:おがくずをにかわで固めたコンポジションで作った張子のようなボディ。関節は当時高価だったゴムで繋がれ、可動性が高く、人形を子供用の玩具として広めるのに貢献した。
- クロスボディ:キッドボディを布で作りパンヤなどを詰めたもの。大量生産された抱き人形などに使われた。通常、ビスク・コンポジション・セルロイド製の手がつけられる。
- オールビスク:ヘッド意外の部分もビスクで作った人形で、小さいサイズ(ミニョネット)に見られる。可動性の無いオールビスクは、フローズンシャーロットと呼ばれる。